「お前を干してやる」が何とも愚かすぎるワケ 「おじゃる丸」声優のNHK告発から考察する
NHK Eテレの人気アニメ「おじゃる丸」の主人公の声優を1998年から2000年まで務めていた小西寛子さんが、今年6月1日に、かつて声優降板に至った事情についてツイートした。
“収録と言われおじゃる丸の声を録ったが本編用ではなく「おじゃる丸人形とか音声商品の声に流用して販売」していた。私も知らされていなかったので「これはなんですか?」と事務所を通じて質問。そしたら生意気だ! 黙って言うとおりにしないとアニメ業界で仕事できなくしてやる(松本P音声ママ)”
次のツイートでは、以後収録の話が来なくなったことと、同番組スタッフの事件の隠蔽を示唆。さらには、「(当時の「おじゃる丸」プロデューサーである松本寿子氏が)干すだの降ろすだの言うこと聞けだのキーとかわめいたりして全く話になりませんでした」との内容もツイートした。
実際に2001年から、主人公の声優は別の人に代わった。小西さんの降板から18年経過し、同様の事案がNHKで進行中のため、今回の告発に至ったという。小西さんは13日に放送された『バイキング』(フジテレビ系)にもVTR出演し、「おじゃる丸」次シーズンの開始直前に、NHK側からパワハラまがいの発言を受けた事実を明かした。
業界から「干してやる」という言葉への違和感
今回の告発で筆者が引っ掛かったのは、「業界で仕事できなくしてやる」と「干す」の二言である。小西さんのように名のある人物ならまだしも、この2つの言葉は独立して間もないフリーランスや、来月の仕事もあるかわからない零細フリーランスにとっては、かなり恐ろしい言葉である。
私自身は干してやると言われたことはない。だが、フリーランス同士の飲み会ではこの手の話は時々聞く。
20代後半の男性ライターのAさんは、かつて一緒に仕事をしていた発注主である40代男性に対する愚痴をフェイスブックに書いた。あまりにも理不尽な仕打ちを受けたため、フェイスブックのコメント欄で慰めてもらいたかったという気持ちもある。当然、相手の名前は出していないうえ、彼のことは友達承認していなかったため、まさか書き込みが本人に伝わるとは思っていなかった。
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