具体的に立ち上がってきたサービスでは、たとえば従業員情報の一元管理と分析によって戦略的な人材育成と配置を実現しようとするタレントマネジメントのシステム。「カオナビ」と命名された社員の顔写真をみながらサクサクと人事評価や人材配置に活用されるサービスが登場して以来、日本でも似たようなサービスが続々と登場して「こうしたサービスを社内で検討しないと時代遅れと言われかねない」と会社の人事部が危機意識を感じる状況にあります。
このようにブームの様相を呈していますが、本当に日本でHRテックが広がるのか? 職場の視点から考えてみたいと思います。
そもそも、HRテックが日本で普及する状況になりつつある、普及すべきと考えられている背景には働き方改革の推進があります。
手短にいうと、日本の労働人口の減少などで限られた人数で労働生産性を上げるための手段として、HRテックの活用が迫られているのです。
たとえば、これまで人員を割いてきた定型業務を削減するための現状分析ツールの必要性。あるいはモチベーションを上げて生産性を高めるために効果的なコミュニケーションツールの導入。これらはHRテックの普及がないと実現は容易ではないとのことで、今後普及が加速するはずと関係者は断言します。
ところが現場に話を聞いてみると、意外に普及は加速していません。それはどうしてか? その理由は人事に関して「アナログ状態」に慣れすぎているから。
HRテックの実現に向けて欠かせないのがデータ活用。ところがデータ活用を人事部があまり望んでいないのです。
大半のことが「頭の中」に格納されてきた人事の情報
本来はデータ(事実)に基づいた、客観的な基準を基にPDCAサイクルを回し、組織としての判断精度を向上させることで、経験と勘だけに頼らない意思決定が求められます。ところが人事の仕事は大半のことが「頭の中」に格納されて、それを活用して行うことに慣れすぎてきました。たとえば、データとしておさえておきたい社員のパーソナリティ情報について
・社内における評判や強み・弱み
・プライベートの状況
など人事システムに入力されることはなく、人事部長(ないしは経営陣)の「頭の中」にあるだけの状態で人事異動や昇進・昇格などが行われている会社が大半。当然ながら頭の中の情報の大半は誰にも引き継げません。
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