心が強い人は「怒りのしずめ方」を知っている サッカー日本代表・酒井宏樹の「頭の中」

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怒りの感情を爆発させたところで、問題は解決しません(撮影:千葉格)
“怒る”ことは莫大なエネルギーを必要とします。それでいて“怒り”はポジティブな感情ではありません。
誰かが何か大きな失敗をして問題が発生した場合は、怒らずに向き合うことで問題は解決しやすくなると、サッカー日本代表の右サイドバックとしてプレーし、ロシア・ワールドカップでの活躍が期待される酒井宏樹選手は語ります(新刊に『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』がある)。その怒らない技術について具体的に話を聞きました。

怒りは状況を悪化させるだけ

僕は感情に流されて怒らないよう常に心掛けています。ピッチ上で何か問題が発生して、それに対してチームメートに怒ったとしても、怒る時点でもはや手遅れだからです。その2つ、3つ前の段階で手を打っておけば、怒らずに済んだ可能性もあったはず。そう考えれば、怒る側にも少なからず問題があったと言えます。

誰だって怒られると良い気分はしません。僕はチームメートに対しても、家族に対しても怒ることはありません。その理由は、相手にストレスを与えたくないという気持ちもありますし、それ以上に、僕はわざわざ怒らなくても問題を本質的に解決できると考えているからです。

怒りの感情を爆発させたところで、問題は解決しません。むしろ怒っている時間の分だけ、解決は先送りになりますし、感情的になっている状態で冷静な判断を下せるとは僕は思いません。

失敗によって起こった現実を変えることは不可能です。ならば、「仕方がないことだった」と相手を尊重したうえで「一緒に解決しよう」という姿勢で話をします。

怒っても、優しく言っても、どちらでも解決が難しいようであれば、僕は怒るよりも優しく伝えるほうを選択します。

怒りを爆発させたネガティブなアプローチの場合、言う側にも言われる側にもマイナスの感情が生まれ、状況を悪化させるおそれがあります。ならば意識的にポジティブなアプローチを心掛け、少しでも早く解決策を見出したほうがいいというのが僕の意見です。

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