心が強い人は「怒りのしずめ方」を知っている サッカー日本代表・酒井宏樹の「頭の中」
それに、感情に流されて怒鳴り散らしている人には説得力を感じません。僕は怒られるときに、淡々と冷静に怒られるのと、感情的に怒鳴られるのだったら、冷静に怒られるほうが怖いです。
試合中はアドレナリンが出て興奮状態にあるため、選手によっては試合の流れが悪いとイライラが募ってチームメートを怒鳴りつける人もいます。
もしチームメートが僕に対してそういう態度に出てきた場合、僕のほうに非があれば素直にそれを認め、そのうえで「いまのプレーは僕が悪かった。でもこれはやってほしい」と伝えるようにしています。
しかし、完全に相手の発言に矛盾があって、しかも、それを怒鳴りながら僕に責任転嫁してきたら、最初は話し合いのトライをしますが、言ってもどうしようもないと思ったときは「オーケー、あとでまた話そう」とあえて時間をあけるようにしています。ピッチから離れれば相手も落ち着いているから、今度は冷静に話し合いができます。また、間を置くことで、相手が「さっき俺が言ったことって、もしかしたら間違っているのかもしれない」と考える時間もできると思います。
ミスは「非難するもの」ではなく「カバーするもの」
サッカーではミスが頻繁に起こります。僕も「ミスが起こる前提」で、いつもプレーをしています。ただ、同時に、ミスが起こる確率を下げる作業も必ずしています。ミスは起こるものだと思って、マルセイユのフロリアン・トヴァンとはあらかじめコミュニケーションを取りながら、2人の連携でミスが起こった場合はどのようにして相手を食い止めるか、考えを共有しています。
サッカーは足を使うスポーツですし、ピッチの状態によってはボールが思わぬ方向にいってしまう可能性もあります。反対に、ミスしたと思ったのが意外に良いボールになることも。大切なのは、ミスしたあとの処理をいかに迅速に行えるか、またミスの影響を最小限に抑えることができるか、この2つでしょう。
サッカーは11人で行うスポーツですから、1人がミスをしたとしても、他の10人がカバーできれば失点を防ぐことができます。そこでカバーできずに失点をした場合は、ミスをした選手だけの責任ではなく他の10人の責任でもあるわけです。
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