ネイティブレベルの英語力は本当に必要か

ビジネス英語のハードルはどんどん下がっている

グローバル時代の英語「グロービッシュ」

グローバリゼーションが進展し、企業が多国籍の人材を積極的に採用していく中で、米国企業であっても、非ネイティブの割合が増加するのは避けられない。そのため、非ネイティブだからといって「通じない」ではすまされなくなってきた。企業として成果を出すためには、英語が母国語かどうかにかかわらず、しっかりコミュニケーションをとることが大前提だからだ。

 そうした時代のニーズに合わせて登場したのが「グロービッシュ」だ。フランス人のジャン=ポール・ネリエール氏が提唱している、非英語ネイティブのための簡便かつ実用的な英語である。

 実は、ネリエール氏は元IBM社員。1980年代にインターナショナル・マーケティング責任者だったネリエール氏は、米国人部下とともに日本IBMにやってきた。一方的に英語でまくしたてる米国人と、黙ったままの日本人のコミュニケーションがすれ違う一方で、フランス人のネリエール氏と日本人は円滑にコミュニケーションできた。そのことが、グロービッシュという概念を思いついたきっかけになったという。

 米国に帰国後、フランス人のネリエール氏は、部下の米国人に対してこのように語っている。

「君たちは、英語に長けていることがプラスであり、有利であると考えている。しかし実際はそうではない。それはハンディキャップなのだ。世界中で話されているこの言葉は、英語のように書かれ、英語のように聞こえ、英語のように感じられるかもしれないが、英語ではないのだ。私はそれに別の名前をつけて『グロービッシュ』と呼ぶことにする」(「グロービッシュ:非ネイティブ英語は主役となるか?」/「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」2012年10月号p.121より)。

IBMの経営層にいたネリエール氏が「グロービッシュ」の着想を得たとのほぼ同じ時期に、私が同じIBMの社内で非ネイティブ同士のコミュニケーションの円滑さを実感していたのは、偶然の一致ではない。全世界でビジネスを展開するIBMは、企業のグローバル化を30年近く前から先取りしていたのである。

1989年にベルリンの壁が崩壊し東西冷戦が終了、1990年代半ば以降、インターネットが急速に普及して、コミュニケーションの距離的な制約はなくなった。世界の境界線はますます希薄になり、モノやおカネの自由化、人の交流の自由化も進んでいった。

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