全曲聴ける「GLAY公式アプリ」が画期的な理由 TAKUROが語る「ネット時代」のアーティスト
そこでGLAYは2005年に事務所から独立、2006年にGLAYの楽曲原盤権や映像原版、ファンクラブ運営の権利など、あらゆるGLAYにかかわる権利を前所属事務所から買い取った。なお著作権の仕組みを簡単に説明しておくと、アーティスト自身が作詞作曲した楽曲には「著作権」が発生する。これは、自分のつくったものに対する権利だ。他者が勝手に使うと、著作権の侵害になる。
いっぽうで楽曲を録音しCDなどにして販売する権利は、「原盤権」といって、楽曲を録音した事務所やレコード会社に属する。著作者と言えども、そのCDを勝手にコピーしたり、売ったりすることはできない。
つまり、たとえばアーティストが「ファンサービスのために、これまでに出したシングルをタダで聴けるようにしたい」と希望しても、原盤権を持つ会社が「もっとおカネを儲けたい」と考えていれば、両者の利益は合致せず、アーティストの希望はかなえられない可能性が高い。
「権利を自分たちで持つことで、レコード会社など世の中の事情によって左右されず、もっとGLAYらしい、“ファンファースト”な活動ができると考えました」
GLAYだからできるファンとの交流
GLAYではファンから寄せられる声を、実際に検討するという。SNSなどでメンバーと直接コンタクトしているファンにとってはおなじみのことなのだそうだ。
「たとえばTERUなんかは、Twitterでファンから『半年後に結婚するのでGLAYの歌を結婚式で使いたい』というコメントがあったので、自分だけで楽しんでね、ということで、発売前の曲を結婚式で使えるようにしていました。こういうことができるのは、ファンなんだから信じられる、という思いがベースになっているからです。結婚式で使いたいなんて、GLAYの大ファンに決まってますよね。僕たちはファンによくしてもらって、支えてもらって今があるので……」(TAKURO氏)
プロのバンドではまずあり得ない、驚くようなエピソードだ。そのCDをコピーして高値で売るなど、悪用されるのでは……と誰もが危惧するだろう。信頼と善意に基づいた行為であり、楽曲の権利を自分たちで持っているからこそ、GLAYらしい行動ができる、という究極の裏付けでもある。
「2000年頃、音楽のデジタル化技術が確立されると、音楽業界は猛反発しました。CDが売れなくなると。実際2003年にiTunesが誕生して、『将来、音楽は無料になる』と言われましたが、今その言葉どおりになっています。YouTubeなどを活用し、誰もが音楽を聴けるし、発信してスターになることもできる時代です。東京にいながら、ブラジルに住む友達とセッションもできる。地球規模ではいいことしか起きないんです。音楽業界は後ろ向きすぎる。ただ反面、野放しにしておくとアーティストの権利がおろそかになってしまうので、しっかり考える必要があります」(TAKURO氏)
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