全曲聴ける「GLAY公式アプリ」が画期的な理由 TAKUROが語る「ネット時代」のアーティスト

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アマゾンが定着させたネット通販の方式を取り入れ、2011年に立ち上げた公式ECサイト“G-DIRECT”も、自ら権利を有しているからこそ実現したと言えるだろう。このサイトでは、グッズやCDが購入できるほか、楽曲もダウンロードできる。

「正直、原盤権を取得したときは一文無しになりましたが、だからこそ“自分たちの価値は自分たちで上げる”ということがはっきりした。自分たちががんばれば価値が上がって、おカネも入ってくる。がんばらなければその逆になる」(TAKURO氏)

アプリは目標をかなえる究極の形

アプリは「GLAYがコンテンツホルダーとなる」という目標をかなえる究極の形だという。

シングルやアルバムなど、デビューから現在までの約400曲が聞ける(画像:GLAY公式アプリより)

「コミュニケーションツールとしては、公式サイトやファンクラブ、SNSなどもそれぞれありますが、アプリはいわば、GLAYの顔だと言うことができます。僕たちから発信するのはもちろん、事務所などを通さずにファンの意見がダイレクトに伝わってきて、活動に反映させることができます。しかも、すべて一本化しているから、めちゃめちゃ早いんです。また、一本化することでサービス向上、コスト削減による低価格化などのメリットも考えられます」(TAKURO氏)

月額980円で過去の楽曲、今後発売されるシングルやアルバム、動画、出版物が視聴できるほか、電子チケットも検討中だという。価値に見合っていると考えるかは、ファン次第だ。
気になるのが、言うなれば“すみ分け”の問題だ。GLAYの楽曲は、一般の音楽サブスクリプションサービスでももちろん配信されている。反対に、コアなファンへのサービスとどのようにすみ分けていくか。つまり、ファンクラブや既存の公式モバイル会員など、チケット予約などの点で優先権を得ているファンなどだ。

「選択肢のひとつにしてもらえればいいと思っています。音楽全般が好きな人に対しては、広くカバーする音楽配信サービスでいい。そうしたサービスではあるアーティストに対してたとえばアルバム20枚分しかカバーしていません。アプリはコアなファン向け。ただし、新しいファンと昔からのファンと、両方に納得してもらえる必要があります。僕が目指しているのは、老舗の饅頭屋のような存在なんです。常連が新しいお客さんを連れてくるような……。

たとえば新しくファンになってくれた人が昔の曲を聴きたいと思ったとき、アプリはすごくいい入り口。20年前のシングルとか、今は売っていませんから。一方で、古くからのファンから、アプリの感想としてよく聞くのが『実家に取りに行く手間が省けた』(笑)。倉庫に仕舞われたり、ケースを開けてみると中身がなかった、とかね。」(TAKURO氏)

次ページ新しいサービスも展開していきたい
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