スポティファイ悩ます音楽業界との駆け引き 定額配信の巨人がNY上場、黒字化は可能か
時価総額265億ドル(約2.8兆円)。音楽業界のガリバーは、株式市場で華々しいスタートを切った。
世界最大の定額制音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」を手掛けるスポティファイ・テクノロジーは4月3日、米ニューヨーク証券取引所に上場した。今年のIPO(新規株式公開)としては最大規模となる。
「伝統的な上場モデルはわれわれにはそぐわない」。2008年にスウェーデンでスポティファイを創業したダニエル・エクCEOは、今年3月に行われた上場説明会でそう語った。「上場当日にニューヨーク取引所でベルを鳴らしたりフロアでインタビューを受けたりはしない」。実際、エク氏が取引所に姿を見せることはなかった。
新株を発行しない異例の上場手法
そんな姿勢は、今回の上場手法にも表れている。スポティファイが選んだ「直接上場(ダイレクトリスティング)」は、新株を発行せずに既存の株式だけを上場させる手法だ。大株主による売却を制限する「ロックアップ」期間は設定されておらず、未公開株を持っている投資家や社員が市場で売ることで、流動性が生まれる。
スポティファイは現在世界61カ国で展開し、月間利用者数は1億5700万人、そのうち有料会員は7100万人(共に2017年12月現在)を抱える。世界の定額音楽配信におけるシェアは41%と圧倒的な規模を誇る。有料会員数は米アップルが展開する「アップルミュージック」の倍近い水準だ。
楽曲数は4000万曲以上で、複数の楽曲をまとめて楽しむ「プレイリスト」は20億以上を数える。サービスはスマートフォンやタブレット、パソコンのほか、プレイステーション4などのゲーム機でも利用可能だ。日本では2016年9月にサービスを開始している。
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