未来のコインランドリーが「無料」になる必然 「WASHハウス」社長にロングインタビュー
村上:海外で移民の方が目をつける理由も分かりますね(笑)
拡大を支える「絶対に失敗しない」フランチャイズモデル
児玉:ただ、事業化する上では、問題もありました。それは、1店舗あたりの売上が小さいため、多店舗展開していく必要があることです。
我々が事業を始めた15~16年前も現在も、1店舗あたりの月商が30万円、いいお店で50万円という規模感でした。そこで1店舗100万円のお店を作ろうということで事業を始めたのです。
一方で、コインランドリーは装置産業なので、多店舗展開が極めて難しい。どんな大資本でも、世界中にコインランドリーは作れません。なぜかというと投資額の6割が機器の購入に費やされるからです。1店舗あたり3000万円として、100店舗展開すると、30億円かかります。30億円のうち、18億円を機械に使っているわけです。
そして、来年はさらに150店舗を出すとなるとさらに45億円かかるため、赤字が拡大していくだけです。こういった理由で、直営店を一気に増やしていくことは出来ません。
小林:機械の償却期間の間は、PL上では酷い状態に見えてしまうわけですね。
児玉:その通りです。一度、福岡に直営店を30店舗持たざるを得なくなったときがありました。すると、財務バランスは一気に悪化しました。
小林:実際にはキャッシュフローは回っているわけですが、数値上は悪く見えてしまうわけですね。
児玉:はい。だから、フランチャイズ化が必要でした。ところが、フランチャイズ事業というのは、たくさんの問題点を抱えています。その一つが、本部と加盟店の対立です。何か問題が生じた際に、本部は加盟店のせいにして、加盟店は本部のせいにしがちです。同じ事業をやっているにも関わらず、対立関係になってしまうわけです。
こういった問題が発生しないビジネスモデルを作る必要がありました。我々の隠れた強みなのですが、16年間で売上不振によるフランチャイズの解約がゼロ件なんですよ。もちろん、オーナー訴訟もゼロ件です。