未来のコインランドリーが「無料」になる必然

「WASHハウス」社長にロングインタビュー

児玉:これによって、1店舗目を出すときから広告を打つことができるようになりました。たとえば10店舗、オーナーが10人いる状態でゼロから広告を始めようとした場合、反対するオーナーが出る可能性があります。100店舗あればなおさらです。1人がやりたくないと言った瞬間に、全店舗で統一した戦略がとれなくなってしまいます。

(資料:WASHハウス 平成29年12月期 決算説明補足資料より。広告分担金が収支モデルの支出に含まれている点に注目)

村上:反対が出ることを織り込んで、最初から契約に盛り込んでおくわけですね。多店舗展開で売上のグロスを増やしながら、最初から攻めの広告戦略で顧客の利用率をあげていく。非常に優れた立ち上がりですね。

一方で、この先の展望についてお聞きします。店舗が増え続けた先には、飽和して伸びが止まる危険性もあるのではないでしょうか。

価格競争に勝つために、価格をゼロにすることを想定

児玉:はい。いつか価格競争になることはわかりきっていました。想定した市場規模では、日本国内に20万店まで増えますが、そこまで行くと価格競争になります。その時、確実に競争に勝つために、価格をゼロにすることを想定しています。かつて携帯電話会社が携帯電話本体代金を実質無料で購入することができるような戦略ですね。

村上:価格をゼロにする場合にはどこで売上を取ることになるのでしょうか?

児玉:このあたりはあまり公にはしたくないのですが、価格をゼロにした際に重要になってくるのはタッチパネルです。「井戸端会議」という言葉があるように、洗濯の場は、昔から情報交換の場でした。店舗にあるタッチパネルが、地元の顧客にローカルな情報を発信できる媒体にするのです。

たとえば今日はシラスが安いとか、イワシが高いとか、その地域でしか活きない情報がありますが、こういった情報はコアすぎるので、当然ながら広域では意味のない情報です。ただ、これをうまく収集し、タッチパネルを活用して発信していくことが出来ると、我々は、日本で最大の情報網を持つことになります。

その結果我々は、広告媒体業としても存在感を示すことが出来ます たとえ店舗数が飽和していたとしても、広告料が取れるようになったとしたら、洗濯料金をゼロにしても成立します。

村上:まさにコンビニの戦略ですね。最終的には洗濯だけではなく、広告をはじめとして色々なものを売ることができるわけですね。地域に適したビジネス展開もしやすい、と。

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