スマホ世代も狙え!NEWS ZEROの仕掛け 櫻井翔、桐谷美玲をキャスターにする理由とは?

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「スクープ」VS.「わかりやすさ」の乗り越え方

――テレビ番組である以上、「視聴率」が問われます。その一方で、報道機関としての公共性をもって報じなければいけない。そこには大きなギャップがあると思いますが、どのように乗り越えていますか。

僕は1989年に日本テレビに入局してから「ZERO」の2代目チーフプロデューサーになるまで、キャリアのほとんどを現場の記者として過ごしました。長らく現場で「スクープをとった、とられた」という取材競争の中で生きてきた人間です。ギャップを感じないかといえばうそになりますが、だからこそ「スクープ」と「わかりやすく伝えること」の両方やりたいと思っているし、できると思っています。

たとえば、実際にあった事例で言えば、民主党政権時、当時の野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁がひそかにトップ会談をしていたというスクープを政治部の記者がとってきました。その際には、スクープ自体という核心部分は記者のリポートを交えVTRとして見せて、村尾信尚メーンキャスターに「スクープの持つ意味や今後」をかみ砕いて話してもらうという工夫をしました。ただスクープを流すだけではなく、「スクープ」の核心をどう「わかりやすく」伝えられるか――。そこがニュース番組の「カギ」だと思います。

テレビのニュース番組は、VTR、フリップ、キャスターのコメント、キャスター同士の会話など伝え方のツールはいろいろあるので、見せ方を徹底的に考える。だからこそ、「ZERO」では、村尾キャスターがニュース後に話すコメントにも、時間をかけて現場の記者や、デスクを交え侃々諤々、議論して決めています。

――ほかのニュース番組を意識したりされますか。

もちろん視聴率は大事なので意識します。ただ、「ZERO」の場合、ライバルはニュース番組と言うよりは、同じ時間に他局で放送されている深夜のバラエティ番組であり、若い世代がこの時間帯によく見られると言われているインターネットやSNSもライバルです。だからこそ、「ニュース番組を見ようとしている人の中から選んでもらう」のではなく、「会社帰りで疲れていてバラエティ番組でも見ようかな」という人にも振り向いてもらう必要がある。

ニュース番組には、インターネットにはない「パッケージ」があります。チャンネルを合わせていただければ、政治、経済、外交、カルチャー、スポーツが目と耳に入ってくる。政治に関心がなくても、事件とカルチャーの間に入っていれば「知る」機会になる。そうした「今、日本で,世界で、何が起きているのか」を知るパッケージなのです。だからこそ、キャスターの後ろに、トピックを並べているニュースウォールを使ったり、キャスターに若い世代に支持されている人を選んだりして視聴者に向けて間口を広げ、バラエティ番組を見ようとしていた人たちに選んでもらい、かつチャンネルを替えないように、関心が高いことを取り上げるオリジナルニュースを取り扱ったり、よりわかりやすく伝えるようにしています。

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