――“スマホ世代”と言われる若い世代に向けたテレビのニュース番組。キャスター選びや特集企画など斬新な取り組みが見られます。
私たちが大事にしているのは、あふれる中から正確で本当に必要な情報を濃縮して“濃度”の高い情報を送ること、そして、それを若い人に届けることです。そのためには「入り口」を広げておく必要がある。ニュースによってはプロの記者が伝える以上に、櫻井さんや桐谷さんなど若い世代に親しみがあるキャスターが、自分の“声”で伝えることが、その接点となりえると思っています。アイドルが持つメジャーな突破力を借りながら、より多くの人に、報道機関としてフィルターをかけた「正確な情報」「本質的なこと」を、わかりやすく、きちんと伝えるということを心掛けています。
櫻井さんや桐谷さんだから“伝えられる”こと
たとえば、3月11日放送で、櫻井キャスターが原発事故帰還困難区域で防護服を着て取材したのも、震災後2年経過する中で「忘れられがちになってしまう被災地」についてリマインド(思い起こす)してもらえないか――ということを考えたからです。幅広い世代から支持される櫻井キャスターが現場に足を運び、人がいない原発帰還困難区域の風景を自分の目で見て悲惨さを肌で感じながら、思いを語ってもらうことで、視聴者も共有できる部分が多い。若い世代にとって、自分たちと同じように泣いて笑っている同年代の櫻井さんが現場に行く映像が流れ、メッセージを述べることにより、あたかも自分がその場にいるかのように「疑似体験」でき、当事者意識が持てるのではないかと思っています。
まず関心を持っていただく中で、「原発問題」について「何を知るべきか」「何を論じるべきか」を報じていく――。それが報道機関の役割だと思っています。
――キャスターの言葉も印象的です。
桐谷キャスターには「my generation」という、20~30代が関心を寄せる話題や人と「同世代」を扱うコーナーを担当してもらっています。また、女優の板谷由夏キャスターには、2児の母という立場から日常生活の中で生まれた疑問を解いていく「LIFE」というコーナーを担当してもらっている。それぞれ当事者だからこそ気づくことのできる「視点」もあるし、当事者だからこそものすごく親身になって取材しており、表情ひとつとっても違う。また、取材される人たちも「真剣に取材しているな」と話すことが変わってくる。そうした“いい相乗効果”が、視聴者にもより伝わりやすくしていると思っています。
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