人の欲望のカジノが経済危機を生んだ

『人類資金』阪本順治監督が見た経済の正体

未來、国連の演説シーンだけで映画が終わるかもしれない

――ラストシーンで、日本映画としては初となる国連での演説シーンが登場します。そもそも国連は映画の撮影のために場所を貸してくれるような機関なのでしょうか?

1本だけ、ハリウッド映画で前例があったのです。シドニー・ポラック監督で、ニコール・キッドマンとショーン・ベンが出演する『ザ・インタープリター』という映画です。とにかく1回は撮影で貸しているんだから、われわれにも貸してくれるのでは、という期待で交渉に行きました。「いかなる国も誹謗中傷してはいけない」ということで、プロデューサーが1年半かけて、広報局と法務局に台本の審査をしてもらいました。その審査を経た結果、昨年の5月から夏までだったら貸せるという返事が来た。それ以降は改装工事と本当の国連総会があるということで、われわれは昨年の5月に撮影に向かったわけです。

©2013「人類資金」製作委員会

しかし、そのときのわれわれは『人類』はあったのですが、『資金』がなかった(笑)。今なら国連を貸してくれると言ってくれている。スポンサーがゼロでも、見切り発車で行くべきかどうか。結局、個人的に大きな借金をして、森山未來君だけ連れていった。「未來、もしかしたら映画がここで終わるかもしれない」と言ったら、「それでもいいです、行きます」と言ってくれた。たぶんそこで終わっていたら、よくわからない演説が映っているだけの『国連』という短編映画になってましたね(笑)。

――撮影のときには各国のエキストラが集まったそうですが。

エキストラは400人集まってもらったのですが、誰でもいいわけじゃない。インドのプレートにはインド人に座ってもらわなければいけませんし、アフガニスタン人やヨーロッパ人など、ニューヨーク在住のいろいろな人種の人たちにエキストラで来てもらいました。ほかにも国連の職員の方々が100人、ボランティアで座ってくれて、それで撮影をしたのです。

こういう国際的な映画をやるにあたって、国連から始めてよかったと思いました。いろいろな国の人たちの顔を見ながら映画を作る機会はそうはないですから。エキストラが朝来て、着替えをして、全員が肖像権を放棄しますというサインをして、国連のセキュリティを通って昼食食べて――とやっていたら、あっという間に時間が過ぎて、契約との闘いでエキストラが写っているところは2時間半で撮りました。2日目はエキストラとは関係がない、森山未來君のアップだけを撮りました。

――エキストラの準備をして、撮影に挑むまでに5~6時間ほどかかったということですか。

そうです。ランチもきちんと1時間とらなければいけないですからね。日本だったら「食べたらすぐに撮影」ということにできるのですが、今回は向こうのルールに従わなければいけなかった。

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