――金融をテーマにした作品を手掛けるということで、いろいろと勉強をされたそうですね。
それこそ「TOPIXって何?」「ダウ平均株価って何だ?」といったことから始まり、そうこうしているうちに、2~3年経ってしまった。いまだにわからないことだらけですが、当然、わからないままではこの映画を作れない。撮影が終わった後にこうして何かを語らなくてはいけない機会もありますから、無知さを露呈しちゃ駄目だなと思ったのです。でもこういう映画を作らなければ、僕も無知のままで映画を作り続けてきただろうし、興味のないまま終わっていたと思います。
――そもそも阪本監督が「M資金」に興味を持ったのが33年ほど前だそうですね。
日経新聞社から出版された『M資金―知られざる地下金融の世界』という、高野孟さんが書いたルポルタージュを読んだわけです。33年前といえば、僕がまだ美術助手をやっている頃でしたが、将来は監督になるつもりでいたので、その本は引っ越しのたびに必ず書棚のわかる場所に置いていました。
――そこまで「M資金」が心に引っかかっていたのは?
たとえば歴史に興味があるとしたならば、その歴史の裏側をのぞきたくなるじゃないですか。戦中、戦後というときに、そのダークサイドに何があったか興味があるわけですよ。
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