「寝てない自慢」をする人を襲う健康リスク 「忙しいの、慣れちゃったよ」は脳の故障だ

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過労死が長時間労働による突然死であることは、国内外を含め多くの研究で確かめられているが、睡眠不足がその危険度をより高めることを九州大学の研究グループが明らかにしている。

「長時間労働で、十分寝ている」(週労働60時間以上・睡眠6時間以上)⇒心筋梗塞のリスクは1.4倍
「長時間労働で、睡眠不足」(週労働60時間以上・睡眠6時間未満)⇒心筋梗塞のリスクは4.8倍

長時間働いても6時間以上寝れば1.4倍で納まるリスクが、なんと5倍近くに跳ね上がってしまうのである。さらに、「長時間労働じゃないけど、睡眠不足」(週労働60時間未満・睡眠6時間未満) の場合、心筋梗塞のリスクは2.2倍だった。

※(調査は「心筋梗塞の男性患者260人」と「健康な男性445人」を対象に、労働時間と睡眠時間を比較、発症のリスクを検証した。Liu Y, Tanaka H, The Fukuoka Heart Study Group (2002) ‵‵Overtime Work, Insufficient Sleep, and Risk of Non-fatal Acute Myocardial Infarction in Japanese Men" Occup Environ Med, 59, 447-451.)。

深夜の受験勉強は成績を低下させる

また、最新の研究では「深夜勤務の危険性」も明かされている。

生活のリズムと体内の時計が同期しなくなると、がんや神経変性疾患、代謝疾患などのリスクが高まることを遺伝子レベルで検証し、ノーベル生理学・医学賞を受賞したのが、米ブランダイス大学名誉教授のJ.ホール博士と同大学のM.ロスバッシュ博士、ロックフェラー大学のM.ヤング博士(2017年受賞)。

博士らの研究成果は「時計遺伝子」と呼ばれ、最近は「人の働き方」についても時計遺伝子のアプローチを用いた研究が進められているのだが、その中のひとつにある山口大学時間学研究所の明石真教授らの研究結果が実に秀逸である。

研究グループは、早出や夜勤など勤務の交代制がある職場で働く人たちに、3時間に1回、ヒゲを抜いてもらい毛根の細胞を利用して、体内時計と勤務の関係を調べた。

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