iPhone「2代目解体ロボ」、スゴすぎ性能の全貌 アップルはネジ1本までリサイクルする

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iPhone 8は背面をガラスにしたことで、前作に比べアルミニウム使用を20%減らし、製造にかかるCO2排出量も3割削減した。同時に、高い質感と、ワイヤレス充電への対応など、機能面での向上も盛り込んでいる(筆者撮影)

しかし同時並行して、製品を製造する際の資源への取り組みを通じて、製品の環境負荷を下げる取り組みをしているのだ。

すでにアップルは、製品のパッケージを再生資源に転換し、簡素化している。たとえばiPhoneに付属するイヤホンEarPodsは登場当初、きれいなプラスチックケースに入れられていたが、現在は紙にくくりつける形で収納されている。

加えて、環境負荷の少ない製品をデザインすることにも努めている。たとえばiPhone 8は背面をガラスとし、精製により多くの電力や資源を必要とするアルミニウムを減らしたことで、製品1つあたりの製造で排出されるCO2を30%削減した。

製品を作る部分での配慮に加え、使い終わった製品をいかに再資源化するか。今回のiPhone解体ロボDaisyが作られた背景には、そんなテーマがある。

「クローズド・ループ」とは?

9種類のiPhoneを1時間に最大200台分解できるようになった(写真:アップル)

前作のiPhone解体ロボLiamを披露した際、ネジ1本までも分類するとしていた。新型のDaisyでは、「高品質部品」のリサイクルが念頭に置かれている。

筆者は、アップルで環境・政策・社会イニシアティブ担当副社長、リサ・ジャクソン氏に何度かインタビューをしているが、資源の面からの環境負荷軽減のゴールは「クローズド・ループ」を構築することだという。

たとえば、古い製品で使われていたネジが劣化していなかった場合、規格が共通であれば、新しい製品にそのまま利用できる可能性がある。またガラスとアルミの2つの素材で外装を作り続け、かつアップルが古く使い終わったデバイスを十分に回収できれば、リサイクル素材だけで新しい製品の材料をそろえることができるかもしれない。

すべては難しいかもしれないが、少しずつでも再使用、再資源化の割合を高めていくことで、地球から新たな資源を採集せずに製品を作り続けることができるようになる。これがクローズド・ループが意味する姿だ。

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