独自のルールを持っていたりコミュニケーションに問題があったりするASD(自閉スペクトラム症/旧・アスペルガー症候群)、落ち着きがなかったり不注意の多いADHD(注意欠如・多動性障害)、知的な遅れがないのに読み書きや計算が困難なLD(学習障害)、これらを発達障害と呼ぶ。
今までは単なる「ちょっと変わった人」と思われてきた発達障害だが、生まれつきの脳の特性であることが少しずつ認知され始めた。子どもの頃に親が気づいて病院を受診させるケースもあるが、最近では大人になって発達障害であることに気づく人も多い。
発達障害について10年程前に知り、自身も長い間生きづらさに苦しめられていたため、もしかすると自分も発達障害なのではないかと考える筆者が、そんな発達障害当事者を追うルポ連載。発達障害当事者とそうではない定型発達(健常者)の人、両方の生きづらさの緩和を探る。
第17回目は、関東在住で「発達障害のグレーゾーン」と語る堀内香織さん(仮名・21歳・大学生)。一般的に発達障害は生まれ持った脳の特性とされているが、堀内さんの場合、大学生になってからADHDらしき症状に悩まされることになったという。一体どういうことなのだろうか。住まいは関東だが少し離れた地域に住んでいるということで、LINE電話で取材を行った。
勉強のストレスや過敏性腸症候群から適応障害に
中学までは特に生きづらさを感じることなく過ごしていた堀内さん。しかし、高校の頃にストレスが原因で適応障害に陥ってしまう。
「当時、親から『学歴がすべて』だという洗脳を受けていて、勉強しかしていませんでした。勉強ばかりで人間関係を大切にすることをしなかったので、1人も友達がいませんでした。また、親しくしていた男性に彼女ができてしまうといった、ショックなことも重なっていた頃、授業中にオナラをしてしまったんです。
そしたら、『また授業中にオナラをしてしまったらどうしよう?』という不安から過敏性腸症候群になり、そのストレスから適応障害を患ってしまいました。私の場合の症状は、『死にたい』という気持ちがずっと続く。適応障害はストレスの原因がはっきりしているうえで起こる障害です。その原因が取り除かれると症状が緩和されて改善に向かう点が、うつ病との違いだと思います」(堀内さん)
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