21歳、後天的「発達障害グレーゾーン」の苦悩 強いストレスが症状を引き起こした?

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「また以前、ADHDの薬であるストラテラのジェネリック『アクセプタ』を個人輸入して取り寄せ、飲んでいました。普段は頭の中にずっと雨雲のようなものがあって大雨が降り続いているような状態なのですが、それを飲むと雲がなくなったような状態になります。

それがおそらく、定型発達の人の脳の状態だと思うんです。ヨガで1時間瞑想状態に入った後は、アクセプタを飲んだときのようなぱっと晴れた状態になることを実感しています。今はもう、アクセプタは飲んでいません」(堀内さん)

グレーゾーンが理解されにくい理由

発達障害と診断されている人の生きづらさはこれまで紹介してきた。しかし、堀内さんはグレーゾーンならではの生きづらさがあると語る。実際、この連載も「生きづらさ」でネット検索をかけて見つけたという。

「以前はADHDらしき症状自体で生きづらいなと感じていました。でも、自分を客観視するようになると、自分の弱点が見えてきました。それをヨガなどでカバーしようとするようになってから、生きづらさは減ってきました。

でも、やはりグレーゾーンの人は発達障害の人からも定型発達の人からも、どちらの方向からも理解されにくいのではないかと感じます。発達障害の方は医師の診断も受けているし、ある能力が極端に発揮できないから、理解を得られる部分があります。そして、定型発達の人はバランスよくいろんなことができる。

だけど、グレーゾーンの人は医師の診断もないし、できないことが多いわけではないけど、できないこともある。程度の問題だとは思いますが、『それくらいのことは定型発達の人にも当てはまるよ』と言われると言い返せません。だから、自分の脳の特性のせいにしにくいなと思います」(堀内さん)

筆者は堀内さんのほかにも「病院を受診していないが、おそらくグレーゾーンの発達障害だと思う」と言う人を何名か知っている。ぱっと見ただけでわかる身体障害と違い、発達障害の生きづらさは一見見えづらい。しかし、発達障害グレーゾーンの生きづらさはもっと見えづらいものなのではないか。堀内さんの話を聞いてそう思ったが、海外の論文を読んで調べたり、認知の歪みを矯正しようと努めたり、ヨガに挑戦したりと、自ら生きづらさを解消するための手立てを探している点に、彼女のこれからの可能性を感じた。

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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