気持ちいい!「足裏ブラシ」大ヒットの舞台裏 ヒットの理由はテレビ効果だけではない

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同じようなことは、別の商品でもありました。

ツボをステンレスボールで刺激する「キュートボディ」(写真:サンパック)

テレビ朝日系の人気刑事ドラマ「緊急取調室」で主演の天海祐希さんが、ミーティングの最中に首筋をマッサージするシーンがありました(2017年6月1日放送)。そこで使われたのが、先に述べた自社開発商品「キュートボディ」(税込1980円)だったのです。これも売り込みに行ったのではなく、番組のスタッフが小道具として採用してくれたようです。製品の力が後押しをし、広報活動はあくまで自然体です。

ただこのエピソードを筆者が知ったのは、同社広報室の女性(西河舞さん)が、折に触れて配信してくれる広報メールを読んだから。地道な広報活動の積み重ねがあってこそ、伝えたい情報が浸透していくのだ、と思いました。

「会社が潰れないで良かった」

最後に、意外な話を聞きました。フットグルーマーグランの爆発的ヒットの後、経営陣は「会社が潰れないで良かった」と囁きあったというのです。通販サイトが品切れ状態となり、顧客注文に応えられない危機的状態。何とか増産して乗り切りましたが、そのときの経営幹部の危機感は大きかったようです。たくさん売れたときに、そのことを喜ぶだけではなく、顧客のニーズにきちんと対応できなければ会社は潰れてしまう、という焦りも感じていたわけです。

丹波にある工場では1000万円以上投資して新しい金型が増設。成形機の更新にも、数千万円レベルの投資をしました。同社の規模にしては多額の設備投資といえます。これだけの投資を行ったのは、ロングセラーになる、という自信の表れでしょう。ただしリスクはあります。欠品を起こさないだけの商品供給態勢を整えなければダメだ、という意識のほうが勝っているからこその大投資ともいえます。

同社(サンパック)の経営理念の冒頭に、「つねに信用を重んじ心を大切にすることから商取引ははじまるものと知り、損得よりも善悪を考えることによって企業の社会性を追求」とあるのですが、経営幹部をはじめ社員の皆さんは、まさにその経営理念を実践しているようです。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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