出所した若者を更生教育する46歳社長の信念

「再犯防止で大阪を日本一安全安心な街に」

大阪市福島区で出所後の若者の教育を担う「良心塾」の授業風景(写真:黒川さん提供)

ヒューマンハーバー大阪は、大阪市福島区で出所後の若者の教育を担う「良心塾」を運営しています。

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社長の黒川洋司さん(46)は、別に美容室3室を経営。託児所も完備し、女性スタッフ、お客様が安心できる施設を運営しています。長身痩躯、物腰も柔らかで、いかにも美容室店主といった雰囲気の方です。

でも黒川さんのこれまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。若い頃は非行に走り、反社会的組織に入った経験もあります。母子家庭で黒川さんを育ててくれた母親にも、小学5年生ぐらいから罵声を浴びせかけ、反抗と非行を重ねる日々でした。

若き日の黒川社長(写真:黒川さん提供)

23歳で傷害事件を起こしますが、仮釈放後、知人の美容師たちと美容室を始めます。ただ、経営者になったのも自らの欲望を満たす、という利己的な考えからだった、と言います。そしてたまたま経営がうまく行って、傲慢になっていました。そんな黒川さんを大きな悲劇が襲います。35歳の時、女手ひとつで黒川さんを育ててくれた母親が急死したのです。

母親の死をきっかけに「職親プロジェクト」に参画

黒川さんは言います。「今までどんなことをしても私を許し、受け入れてくれた母親を、親孝行ひとつできないまま死なせてしまい、後悔と失意のどん底でした。仮釈放の時に迎えに来てくれた母親の寂しそうな顔を思い出し、泣き暮らす日々でした。でも、このまま後悔していても母親は生き返らないし、今の姿を見たら悲しむだけだ。それなら、母親が喜んでくれる生き方をしよう、と決意しました」。

そんな思いを持って行動すると、出会う人や環境が変わっていきました。そして、以前この連載でも取り上げた「職親」推進者の『千房』の中井政嗣社長に出会うのです(2017年6月12日の記事「人気お好み焼き屋『受刑者就労支援』への情熱」をご参照ください。なお「職親」は、出所者に職場を提供するだけでなく、身元引受人として24時間面倒をみるプロジェクトのことです)。

「出所者は、社会に復帰するハードルが恐ろしく高いんですよ。まず、仕事がない。住まいがない人も多い。教育も不足している。もともと対人関係が苦手なのに、刑務所内ではコミュニケーションの機会がほとんどないので、さらにコミュニケーション力までもが欠けてしてしまうんです」(黒川社長)。

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