大谷翔平が今も大切にする、父の「3つの教え」

小学2年生で野球を始め、父が監督兼コーチに

ノートには、ほとんどのページに書き込まれている徹さんのこんな言葉がある。

1つ目は、「大きな声を出して、元気よくプレイする」。

やみくもに声を出すのではなく、連係プレイを含めた中での確認作業をするために、アウトカウントやストライクカウントなどを大きな声で確認し合う。選手間で各打者の打球傾向を確認し合ったり、たとえば「セーフティバントをされそうだぞ」と言い合ったり、元気よく声を出してプレイし、コミュニケーションを大事にしてほしいという思いが込められていた。

2つ目は、「キャッチボールを一生懸命に練習する」。

肩を温めるだけのキャッチボールではなく、自分が意図するところ、狙ったところに投げること。指にかかった縦回転のスピンが効いたボールを投げられるためにキャッチボールの段階から意識を高く持って投げることを求めた。

3つ目は、「一生懸命に走る」。

野球は走るスポーツでもあるために、力を抜かずに最後まで全力で走ることを指導した。

思いを込めて書き続けた

徹さんはそれら3つのポイントを事あるごとにノートを通して息子に伝えようとした。1年を通して戦い続けるプロの世界まで行った選手が、それらすべてをやり続けられるかどうかはわからない。多くの場合、それらは上のレベルに行けば行くほどに忘れてしまうものかもしれない。でも、やはり……そう言って徹さんはこう言うのだ。

「野球をやっている以上は、この3つのことを大事にしながら進んでほしい。そういう思いを込めて書き続けていました」

父の思いは、23歳になった翔平の心の奥に、まだ生き続けている。

「3つの教えは基本的なものですが、今でも覚えています。それは、いつどのステージに行っても言われ続けることだと思います。特に全力疾走は、そのこと自体に意味がありますけど、その取り組む姿勢にも大きな意味合いがあると思っています」

野球に取り組む意識付けや姿勢のあり方を投げかけながら、徹さんは技術面の指導にも熱を入れた。投げることに関しては、縦回転のスピンの効いたボールを投げることに加えて、プロ野球選手の連続写真を参考にしながらきれいな投球フォームで投げることを教えた。とりわけ、自身と同じ左打席に立つバッティングでは細かなアドバイスをした。徹さんは言う。

次ページ自身の実体験をフルに活用しながら
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