名門高「都内私立優位」という大いなる錯覚 東大・京大・国公立大医学部合格ランキング
それよりも考慮すべきは公立高校における学区の人口規模である。たとえば東京都では、人口1000万人規模の都内全体が1学区になっている。一方福井県では、同じく全県1学区でも人口は80万人足らず。小学区制の学校ではさらに小さな人口規模の地域からしか生徒を受け入れることができない。私立・国立学校には基本的に学区がない。他県からの通学も可能だ。大学合格者数を比較するときには、その点を頭の片隅に入れておく必要がある。
地方公立名門校のレベルの高さ
公立高校に限定したランキングを見ると、1位は旭丘(愛知)、2位は北野(大阪)、3位が膳所(滋賀)と熊本(熊本)だ。東大では1位の日比谷(東京)もここでは10位とランクを落とす。これが、東大合格者数だけを見ていては気づけない、地方公立名門校のレベルの高さである。
しかもこれらの学校の底力が発揮されるのは大学受験だけではない。
戦前から「旧制一中」「旧制二中」などと呼ばれた上位伝統校は、もともと帝国大学へ進学する国家的エリートや地域のリーダーを育てることを使命としていた。そのため伝統的に、勉強ができるだけでは良しとせず、文武両道や自主自律そして全人教育の趣旨を掲げる点が共通している。
およそ受験には関係のなさそうな伝統行事や奇妙な風習が脈々と受け継がれ、部活の加入率も高い。県下トップの進学校でありながら全国レベルで活躍する部活が多数あることも、地方では珍しくない。
地方ではいまでもこのような学校が、戦前からの伝統と矜持をしっかりと受け継ぎ、また地域の誇りと期待を担い、優秀な若者を、単なる受験エリートではなく、次世代の真のリーダーたるべく鍛え上げているのである。
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