名門高「都内私立優位」という大いなる錯覚 東大・京大・国公立大医学部合格ランキング
実際、必ずしも全国区で名が知られているわけではないけれど、地域の誇りと期待を担った「ご当地名門校」としての貫禄を感じさせる公立高校が多数ある。そのような高校を訪ねると、開成や灘を訪れたときに感じるのと似た空気を感じることがある。首都圏に生まれ育っていればおそらく私立名門校に進学していたであろう秀才たちが、地方においては公立名門校に集う。
東大合格者数だけではわからない高校の進学力
1877(明治10)年に原初の東京大学ができた。以来長らく日本唯一の大学であった。日本各地から優秀な人物を東大に吸い上げるように全国の学校がネットワーク化され、「優秀な子どもは東大に行く」という“文化”が日本中に広まった。それが日本人の無意識に刷り込まれているために、わたしたちはいまでも「東大」を過剰に意識してしまう。
しかし実際のところ現在では、東大は関東にある国立の総合大学の一つにすぎず、合格者数は当然関東地方の高校に偏る。しかも最近は東大一辺倒の風向きに変化がある。
不景気や震災の影響、そして昨今の高校生およびその保護者の現役志向もあり、地元志向が強まっている。もともと関西では「近くに京大があるのになぜわざわざ東大まで行くのか?」という意識がある。
さらに医学部人気も顕著である。東大に行くよりも手に職を付けたほうが将来安心という現実的な価値観だ。十分に東大を狙える学力がありながら、あえて医学部を目指す高校生は増えている。
東大、京大、国公立大医学部は難易度的にもほぼ同等だ。2017年の河合塾のボーダー偏差値(合格率50%)では、東大の理Ⅲ(医学部系)が72.5、文Ⅰ(法学部系)70、それ以外は67.5。京大は、医学部がやはり72.5、それ以外は62.5~70。
全国に50ある国公立大医学部の平均偏差値を概算してみると66.75。個別には、たとえば奈良県立医科大学の偏差値は70、岐阜大・熊本大・三重大で67.5と、まさに東大と同等の学力が求められるのだ。
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