国際社会を悩ませてきた北朝鮮の核・ミサイルの開発・実験は、米朝トップ会談によって、前に向かって動き出す曙光が見えてきた。複雑な問題であり、このかすかな光は短時間で消えてしまうかもしれないし、今後も紆余曲折がありうる。
そんな中で重要なことは、国際社会として目指すべき「非核化」は「北朝鮮の非核化」か、それとも「朝鮮半島の非核化」か、という点だ。「北朝鮮」は「朝鮮半島」の一部であり、「北朝鮮の非核化」は「朝鮮半島の非核化」の一部と考えがちだが、どちらにするかは大きな違いである。
韓国に核兵器は存在しない
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が示した「包括的かつ段階的」な方法は「朝鮮半島の非核化」だろう。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の発言は、「北朝鮮の非核化」と取れる場合と、「朝鮮半島の非核化」と取れる場合と両方ある。先般訪朝した韓国の特使、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長に対して述べた、「軍事的脅威が解消され、体制の安全が保証されれば、核を保有する理由がない」は前者であった。一方、習近平主席に対しては、「金日成主席と金正日総書記の遺訓に従い半島の非核化に努めることは、われわれの一貫した立場である」と明確に後者の表現を使っていた。
「北朝鮮の非核化」と「朝鮮半島の非核化」は具体的にどう異なるか。「朝鮮半島の非核化」の場合、「北朝鮮の非核化」のみならず、「韓国および在韓米軍の非核化」も含まれる。
しかるに、韓国に核兵器は存在しない。在韓米軍はかつて韓国内に核兵器を保有していたが、冷戦終結後の1991年に撤去されたからだ。では、「朝鮮半島の非核化」であっても韓国および米国としては問題ないかというと、そうではない。
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