焦る金正恩、「電撃訪中」で見せた軟化の背景 「第2のイラク」になるのを恐れている

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電撃的な中朝首脳会談で何があったのか。晩餐会で語り合う、北朝鮮の金正恩委員長(左)と中国の習近平国家主席(右)(写真:KCNA/UPI/アフロ)

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪問、習近平国家主席と会談したことに対し、世界は大きな衝撃を受けた。3月25日から28日までの今回の訪問についての報道内容をトレースすることで、北朝鮮側の意図を考察してみたい。

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金氏は2011年末、北朝鮮の指導者となったわけだが、今回はそれ以来、初めての外国訪問だ。6年余りの期間、国家の新しい指導者が外国を訪問しないのは、世界的にも極めて珍しいことである。金氏は28歳くらいの若さで北朝鮮の指導者となったので、まず国内を固めたうえで各国の首脳とわたり合う、という考えだったのかもしれない。北朝鮮のように一党独裁の国では、誰からも認められる指導者としての地位が確立するまでには、さまざまな過程を経なければならず、時間がかかるのだ。

これだけ満を持した金氏が選んだ最初の訪問先が中国だったのは、約60年前の朝鮮戦争で助けてくれた国であり、その後も特別な友好国であったことに鑑みれば、ごくごく自然な選択だったはずである。

冷え込んでいた中朝関係だったが…

しかし、最近の中朝関係は、かなり冷え込んでいた。両国の関係悪化は、冷戦が終結、1992年に中国が韓国と国交を樹立して以来のこと。その間、さまざまな問題が生じたが、中でも2014年7月に習氏が国家主席として初めて韓国を訪問したのは、北朝鮮にとって強烈な衝撃であった。

もっとも、金氏が北朝鮮の指導者になったのが先であり、一度も中国を訪問しないうちに習氏が韓国を訪問することになったので、中国側としては「金氏のほうが早く訪中すべきだった」という言い分があるようだが、それにしても、金氏としては腹に据えかねることだったのは間違いない。

また最近では、核・ミサイル実験に関する国連の制裁決議に関連して、中国は北朝鮮に対し、従来見られなかった厳しい態度をとるようになり、北朝鮮は激しく反発していた。

金氏はこのような不満と敵がい心をすべて押し殺して、最初の訪問先として中国を選んだのだ。

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