米朝会談は「そもそもの前提」に不安がある

非核化交渉の対象は「北朝鮮」?「朝鮮半島」?

検証(査察)の問題があるからであり、「北朝鮮の非核化」であれば北朝鮮だけが査察の対象だが、「朝鮮半島の非核化」であれば、北朝鮮のみならず韓国(在韓米軍を含め)も対象となる。

この問題は、1992年に南北朝鮮が「朝鮮半島の非核化宣言」を行った際実際に問題になった。北朝鮮は、査察を受けるのは認めるとしても、在韓米軍にも査察が必要だと主張した。「半島の非核化」であるから、それは一つの理屈であった。

これに対し、韓国は、それは無理だと答えた。韓国政府が米軍に対し査察を受け入れるよう求められるはずはないのでそう回答するしかなかったのだ。しかし、それで交渉は頓挫してしまった。「朝鮮半島の非核化」はそれ以来の懸案である。

「在韓米軍の撤退」も求めてくる可能性

北朝鮮は、「在韓米軍の撤退」も求めてくる可能性がある。理屈から言えば、米軍は核を保有していないので韓国からの撤退を要求される筋合いにないが、北朝鮮が、米軍が軍事的脅威になっている、つまり、体制維持の妨げだと言い張ると、完全に反駁するのは困難だろう。

さらに厄介な問題は、「核の傘」である。「朝鮮半島の非核化」であれば米国が韓国に与えている「核の傘」も対象になるとよく言われる。これは常識的な見方かもしれないが、物事を半分しか見ていない中途半端な議論だ。

実は、韓国は、本当に米国の「核の傘」の下にあるか、この傘は信頼できるか、米国はかならず核で守ってくれるのか、と不安に思っている。

この問題は両国間の同盟条約の文言に基本的な原因がある。すなわち、米韓相互防衛条約第2条では、韓国はその防衛に米国の協力を得ることになっているが、脅威が発生した場合はまず米国と「協議」することになっており、米国が自動的に行動することにはなっていないのだ。

ちなみに、日米安保条約にも「協議」についての条項はある(日米安保条約第4条)が、米韓条約とは文脈が違っており、米国の義務は明確に記載されている。

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