――三木監督は常々、本作で「松本潤、上野樹里という2人の俳優さんの新しい側面を引き出したかった」と公言しています。『僕等がいた』ではやはり吉高由里子さんが一途な思いを持つ女性を演じて、新境地を見せていましたが、やはりそういうことは意識しますか?

それはやはりありますね。ほかの作品でやったような感じの役柄を同じようにやってもらうのは、負けた感じがするというか。その役者さんの新しい魅力を見つけないと、監督としてやっていて面白くないですね。今まで役者さんがやったことがないような魅力を引き出すことで、映画が豊かになるような気がするのです。そのほうが観客の方も、松本潤くんと上野樹里ちゃんではなく、浩介と真緒として見てもらえるし、より物語に入りやすくなると思うのです。それは毎回気をつけるところですね。
――若い頃の浩介と真緒のキャスティングが絶妙でした。特に中学時代の真緒役の葵わかなさんは、かわいい子なのに、どこかイケていない感じがただよう絶妙なバランスがありました。
わかなちゃんの髪の毛をボサボサにしていますしね。あれも、「ほかの人は気づいていないけど、その子がかわいいということは俺だけが知っているんだぞ」という男子的な願望ですよね。わかなちゃんのキャスティングは、そこがくすぐられるのだと思います。そんな女の子がいじめられているのを見たら、助けに行かなきゃと思ってしまう、そういう妄想は男子なら誰でもあるのではないかと思います。今回のキャスティングには自信がありますね。
尾道三部作とファンタジー
――今までリアル志向のドラマが多かった三木監督ですが、ファンタジーを手掛けるのは珍しいのでは?
そうですね。しかし、もともと僕は日常生活の中にファンタジー要素があるような作品が、特に大林宣彦監督の「尾道三部作」(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)などが大好きでした。不思議な少女が現れて、翻弄されながらも恋に落ちるんだけど、彼女には秘密があって、という『陽だまりの彼女』の物語の骨格は、『さびしんぼう』に近いところがありますね。
――大林宣彦監督の「尾道三部作」同様、『陽だまりの彼女』でも江の島という土地柄が懐かしさを感じさせる要因となっています。
本作でも(「尾道三部作」の特徴である)路地裏、坂道なんかが出てきますからね。そういうのは大好物です(笑)。
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