「ソフトウエアのテスト」が重要度を増す理由

SHIFT社長にロングインタビュー

丹下 大(たんげ まさる)/2000年に京都大学大学院学研究科機械物理工学修了後、インクス(現 SOLIZE)に入社。わずか3名で発足した同社のコンサルティング部門を5年間で50億円の売上を稼ぎ出す140名体制の部隊に成長させる。コンサルティング部門のマネージャーを経て、2005年9月にSHIFTを設立し、代表取締役に就任(写真:Signifiant)

小林:テストには、やはり開発とは異なるスキルやノウハウが求められるのでしょうか?

丹下:そうですね。しらみつぶしに検証を重ねていくだけでは、コストばかりがかさんでしまいます。当社ではこれまでに培ってきた知識やノウハウに基づいて、不具合が起きがちな箇所を狙い撃ちするという効果的なテストを実施しています。

また、当社が求めるレベルの技術を有するエンジニアを抽出するために、テストに関する検定試験を実施しております。年間5000名が受験して合格率が6%程度にすぎないという難関試験なのですが、これを突破した人が当社のテストに携わっています。

小林:知識やノウハウの蓄積がより効率的なテストを実現していくわけですね。

非常に優秀な人材がそろっている

丹下:そうですね。当社のエンジニアたちは、1人当たりの生産性が極めて高いことも大きな特徴です。実績が自動計算されて収入が積み上がっていく出来高制を採用しており、仕事に対するモチベーションも非常に高いです。私がこうして生産性にこだわっているのは、前職であるインクス(現 SOLIZE)での経験も大きく影響していると思います。

小林:実は、インクスが経営破綻した経緯から(※2009年に同社は民事再生適用を申請)、採用でインクスのOBの方とたくさんお会いしたのですが、非常に優秀な人材がそろっているという印象が強かったですね。

丹下:社長がかなりの予算を投じて、優秀な人材の獲得に力を入れていたからですよ。インクスは携帯電話などの部品に用いる精密金型を3次元CADで高速生産して業績を伸ばし、僕が辞める頃には、当初約60名だった社員の数が1700人程度まで増えていました。新卒で入社した僕が関わることになったのは、コンサルティング部門の立ち上げです。まだ会社全体の売上が20億円程度であった時期に、当時の日本を代表する大企業からいきなり15億円を超える大型案件を受注し、まるで最新兵器を相手に竹槍で戦うような状況でした。正面から挑んでも討ち死にするのは必至だったことから、あれこれ考えた末に僕が開発したのがプロセステクノロジーというものです。

小林:それは、いったいどのような技術なのでしょうか?

丹下:2カ月間にわたる金型の製作行程を自動的に計算するというものです。この技術を開発して特許を取得した結果、大型受注を続々と獲得できるようになり、コンサルティング部門だけで会社全体の年間売上の3割以上を稼ぎ出しました。

小林:それによって、わずか3人で立ち上げたコンサルティング部門が140人体制にまで拡大していったわけですね。

丹下:その頃にはコンサルティング部門のマネージャーを務めるようになっていたのですが、慢心気味の社内のムードとは裏腹に、僕は危うさを感じていました。コンサルティングというものは、水もののビジネスだからです。だから、「このままじゃ、きっと会社がつぶれてしまいますよ」と社長に忠告しました。案の定、2008年9月のリーマンショックを機にコンサルティング部門の売上は急激に落ち込んでしまい、その翌年には民事再生法を申請するはめになってしまったのです。

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