「ソフトウエアのテスト」が重要度を増す理由 SHIFT社長にロングインタビュー
IoT化が進む今、PCや携帯情報端末、金融機関のATMはもちろん、家電や自動車、ドローンなどにもソフトウェアが組み込まれています。しかし、人間が記述したプログラミングに欠陥があれば、ソフトウェアが正常に作動しない恐れが出てきます。今後、自動車の自動運転が実用化されれば、ソフトの誤動作は人命に関わる重大事に発展する可能性もあります。2014年11月に上場したSHIFTは、そういったリスクを回避すべく、様々なソフトのテストを専門に手掛けることで急成長を遂げている企業です。同社の概要や強みや今後の展望などについて、丹下大代表取締役社長に話を伺いました。
2005年9月設立のSHIFTは、ソフトウェア開発の最終工程において不可欠なテスト(正常に動作するかどうかの確認作業)を専門に請け負っている。そして、開発当初から不具合を未然に防ぐための措置を講じるコンサルティングにも注力し、テストや品質保証のための体制構築支援、自動テストのためのスクリプト 作成業務などを提供。2017年8月期は人材採用コストが影響して前期比で減益となったものの、その一方で大幅増収を遂げており、ビジネスは順調に拡大中。2017年8月期の売上高81億7400万円、営業利益3億9100万円。証券コードは3697。
最終工程のテストのみならず、コンサルティングも展開
小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):まずは、御社のビジネスの概要についてご説明願います。
丹下大(SHIFT代表取締役社長。以下、丹下):当社が手掛けているのはソフトウェアのテストで、このビジネスに特化してから8年程度になります。銀行や証券会社などの基幹システムや、 ERP(企業資源計画)、会計システム、ECサイト、モバイルアプリ、ソーシャルゲームなどがテストの対象です。
小林:ソフトウェアのテストとはどういったものなのか、専門外の人にもわかるように教えていただけますか?
丹下:完成後にソフトが正しく動作するかどうかのチェックを行うというのがその1つです。もっとも、それはあくまで対処法にすぎません。こうしたテストはソフトの開発工程の中で最も下流に位置するため、瀬戸際で不具合を発見できるものの、上流の工程で発生するバグ(プログラム上の欠陥)を未然に防ぐことにはつながらないのです。そこで、力を入れているのがコンサルティングサービスです。不具合が出ないような仕様書作りなど、これまでのテストで培ってきた知見やデータを元に、上流の工程からソフト開発に携わっています。ソフトの開発はV字モデルと呼ばれる手順に沿って進められていきますが、僕たちはその全行程における品質に関わっているわけです。