「フランスの超天才」が予測する2030年の世界 ジャック・アタリ氏「国境はいずれなくなる」
フランスナンバーワンのエリート校(ENA)を卒業し、38歳にして故フランソワ・ミッテラン大統領の補佐官を務め、欧州復興開発銀行の初代総裁などを歴任したジャック・アタリ氏。米ドナルド・トランプ大統領の誕生を予言し、仏エマニュエル・マクロン大統領を政界に導いた人物でもある。
世界の情勢が混迷を深める中、私たちはテクノロジーの進化や政治、経済の変化に対して、どのように対応して生きていけばいいのか。アタリ氏の近著『2030年ジャック・アタリの未来予測 ―不確実な世の中をサバイブせよ!』から、大胆かつ緻密に2030年の世界の姿を予測する。
ものすごいイノベーションの大波が押し寄せる
19世紀末を別とすれば、2017年から2030年までの間に、人類史上まれにみる大型のテクノロジーイノベーションが続出し、われわれの暮らし、労働環境、学習方法、介護、思考、信条は激変する。それらのイノベーションにより、希少性という問題は大幅に改善されるだろう。
まず、すでに実現化しているイノベーションの一部が、企業、労働者、消費者、一般市民の日常生活にとって極めて重要になる。それらは、文化、生活慣習、イデオロギー、政治に影響を及ぼす。
コンピュータの性能向上によって、ビッグデータの威力が増す。2016年以降、ムーアの法則が働かなくなったとしても、である。たとえば、インテル社の創業者ゴードン・ムーアは、半導体の性能は18カ月ごとに倍になると唱えたが、インテル社によると、今後、それは30カ月になるという。
2025年以降、コンピュータは1秒間に2.88×1017回の計算を実行する。ちなみに、人間の脳は同じ時間内に10×1017回の計算を行えるので、その差はわずか3.5倍でしかない。新たな道具(機械学習、深層学習)により、予測モデルはより効率的かつ詳細になり、知識および医療分野はしだいに自動化される。人間は機械と会話するようになる。
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