たとえば、高速道路は目的地への途中でいったん降りて再進入しようとすると通行料金が高めになるが、ETC2.0では渋滞や災害発生時や給油を目的に高速道路をいったん降りて再進入した場合の通行料金を、降りなかった場合と同額にしたり、同じく「道の駅」に立ち寄った場合でも料金を同一化したりする。
このほかにも渋滞を避けたルートを走行した場合、つまりすいているルートを選んだ場合の料金割引、駐車場での料金決済、フェリー乗船時の手続き簡素化などが予定されている。
国土交通省道路局のITS推進室長である西尾崇氏によると、ETC2.0の双方向通信技術を使い、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、メルセデス・ベンツに加え電機メーカーや地図会社などと共同で自律自動運転社会に向けた取り組みを実施しているという。
これは、運転の自動化レベル3以上を想定した高速道路におけるインターチェンジ合流支援や事故車両発見時の車線変更サポートを目的としたもので2020年3月までの期間で研究開発が行われる。
自律自動運転社会に向けた発展性
このようにETC2.0が提供するサービスはいずれも利用者寄りで、自律自動運転社会など将来に向けた発展性もある。
しかし、手放しでは褒められない。そもそもETC2.0の新サービスを受けるには、ETC車載器ユーザーであればETC2.0車載器への買い替えが必要だし、DSRC車載器ユーザーであっても2015年6月30日までにDSRC車載器としてセットアップを行っていた場合にはETC2.0へ再セットアップが必要になる。いずれも経済的負担を伴う事象だ。
また筆者は、大型車/乗用車/二輪車のいずれの車両でもETCやETC2.0を利用しているが、二輪車ではナビゲーション装着へのハードルが高いこともありETC2.0の恩恵を受けにくい。たとえば、ETC2.0車載器と、スマートフォン&ヘルメットを普及率の高いBluetooth経由で接続し、まずは合成音声でのサービスから始めたらいかがか。
料金自動収受機能からスタートしたETC車載器は、ITS技術の進歩によって情報提供サービスが受けられるDSRC車載器へと進化。そして今回のさまざまなサービスが追加されるETC2.0としてETC2.0車載器へと出世魚のように進化を遂げた。この先は車内IT機器との連携や車両制御技術との融合が期待できるだろう。
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