ETC、意外と知られていない最新進化と歴史 可能なのは料金自動収受だけじゃない

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とはいえ、これまで多いときで年間600万件近かったETC車載器の新規セットアップ件数は、2011年あたりから緩やかにその数が減り始め、今回ご紹介するETC2.0の一般運用がスタートした2015年の時点では約368万件、直近の2017年4月の時点ではいくぶん持ち直したものの約447万件にとどまっている。

これはひとえにETC車載器が広く普及したことが主な理由だ。実際ETCの利用率は高く、東日本高速、中日本高速、西日本高速、首都高速、阪神高速、本四高速の6団体では週平均での利用率が90%以上に及ぶ。

こうした状況を受けETCを管轄する国土交通省道路局では次なる施策として、利用者のさらなる利便性向上を目的に新たな車載器の開発を行ってきた。その結果、誕生したのが「DSRC車載器」と「ETC2.0車載器」だ。

高度道路交通システムの一環として開発

そもそもETCは単体のサービスとして生まれたものではない。ITS(Intelligent Transport Systems/高度道路交通システム)の一環として車載器やシステムの開発が行われてきた。ITSは1995年に横浜のみなとみらい地区で開催された「ITS世界会議」の場で世界の共通言語として提唱されたもの。道路の情報をデータ化し、事故のない安全運転や、効率の良い運転に生かそうという発想が礎にある。

このITSのなかでETCは当初、5.8GHzの電波を使ったDSRC通信方式を行うETC車載器を通じ、高速道路における料金の自動収受だけを行うにとどまっていた(ETC第1世代)。

ETC2.0車載器(筆者撮影)

それが高速道路上で約1700カ所、国道上で約1900カ所(数値は2016年10月現在)に取り付けられた「ITSスポット」と呼ばれる交通インフラの拡充に伴い、交通情報を受け取ったり、車両情報のやり取りができるようになったりするなど、通行料金の自動収受以外にも双方向通信が活用できるようになったのだ(ETC第2世代)。

こうした各種の双方向通信ができる車載器が「ITSスポットサービス対応のDSRC車載器」と呼ばれるもので、これにより渋滞回避情報(自車位置から前方1000km分)、安全運転支援(合成音声やカーナビへの表示)、災害時支援情報(合成音声やカーナビへの表示)などの情報提供サービスが受けられる。

ETC第3世代ともいうべきETC2.0(ETC2.0車載器)では、ETC車載器とDSRC車載器で実現していた、①「高速道路の料金自動収受機能」と、②「情報提供サービス」のほかに、③「新サービス」が追加で受けられる。

2016年4月時点で実施中だったサービスは、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の通行料金が約2割引きになることや、特殊車両や大型車両の通行許可申請手続きが簡素化されるなど地域性や車両を限定したものだが、この先は、広くそのサービスを拡充する。

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