「デキる社員」を増やすには払うか、育てよ スキル不足を補うにはどうしたらいいのか

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――今いる社員のスキルアップを図るには。

企業はかつて社員に一方的に何かを学ばせてきた。だが、今必要なのは社員に学ぶことを与えるだけではなく、社員から学びたいことを引き出すことだ。多くの社員は、すでにいろいろなことを意欲的に個々に学んでいる。

企業自らが、社員が学べるプラットフォームを作り、社員が学んだことを共有したり、学びたいことがあれば、そこから社内外の教材にアクセスできるようにすれば、その効果は大きいのではないか。そうすれば、社員がどのようなスキルを得ているのかを把握することもできる。

従業員が自ら得意なことを教える仕組みも

――グーグルの「20%ルール(仕事時間の20%を好きなことに使える)」のようなものですか。

フランク・リチャルディ(Frank Ricciardi)/米ドレクセル大学卒(金融、経済学専攻)。アクセンチュアなどを経て、2005年3月にコーナーストーンに入社。現職前は、香港をベースに5年間、コーナーストーンの日本とアジア・パシフィック事業を統括していた。現在は、チーフ・カスタマー・オフィサーとして、グローバルの顧客戦略の責務を担う(撮影:今井康一)

たとえば、コーナーストーンでは、月に1回「デベロップメントデイ」と呼ぶ自己トレーニング日を設けている。この日は、好きなことを学んだり、訓練を受けたりできる。従業員が自ら得意なことを教えることも可能だ。

これがなぜ大事かというと、1つは社員が積極的にモノを学ぶ企業カルチャーを作りあげられること。もう1つは、ほかの人とのインタラクション(相互作用)があることだ。将来の学びというのは、教科書からだけではなく、人との交流から得るものになる。

――人事担当者はどういうスキルを身に付けるべきでしょう。

まずはテクノロジーに精通している必要がある。プログラミングのスキルが必要だというわけでなく、テクノロジーを使ってどんなことができるかを知っておくべきだ。具体的に言えば、分析ツールを使いこなせないといけない。データを使って、それぞれの社員にとってベストな決断を下さないとならない。多くの人は、ビッグデータや人工知能(AI)が人事の仕事を奪うと考えているが、それは違うと思う。

それどころか、そうした技術によって人事の仕事はより重要になる。AIなどを利用して、より迅速かつ適切に社員の能力を見極めて、管理しなければいけない。そういう意味では、経営者的な視点も必要になるだろう。

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