「川越」が活性化のため投入した起爆剤の正体 「持続可能な街づくり」へのこだわりがある
一方で、行政の側も、手をこまねいているわけではない。
いわゆる「まちづくり三法」の1つで、衰退・空洞化する地方都市の中心市街地の状況を是正することを目的とする「中心市街地活性化法」の2014年の改正に伴い、新たに策定した「川越市中心市街地活性化基本計画」(計画期間:2015年4月~2020年3月)の中で、中央通り周辺を重点的に活性化に取り組むべきエリアと位置づけている。
具体的な事業内容としては、「旧川越織物市場」の再生と立門前通りの美装化がある。旧川越織物市場は、江戸時代末から明治初めにかけ国内屈指の織物の集散地として知られた当時の川越の記憶を今に伝える、1910年築の木造2階建ての建物だ。
市場閉場後、2001年まで長屋住居として使われ、2015年3月に歴史的風致形成建造物に指定された。川越市は土地を取得し、建物の解体調査・部材修復設計・整備工事を行い、ものづくり・まちづくり系の若手アーティスト・クリエーター向けの“インキュベーション施設”として、2020年度中に供用開始することを目指している。
今までとは異なる手法でデザインを決定
これと併せて、2019年度中の完成を目指しているのが、立門前通りの美装化だ。川越市ではこれまでも「菓子屋横丁」ではあめ玉をイメージしたガラスブロックを道の所々に埋め込むなどさまざまな美装化を行ってきたが、立門前通りに関しては、デザインを決める過程で今までとは違った手法を用いたという。
「今までは行政主導でデザイン案を決めてしまうことが多かった。しかし、今回は商店会に加え、沿道の3つの自治会の皆さんにも参加していただき、ワークショップ形式でデザイン案を決めた。これにより、語弊があるかもしれないが、住民の皆さんに道路に対する当事者意識を持っていただけたのではないかと思う。数年前に大雪が降ったときには、(立門前通りの)雪かきをする住民はごくわずかだったが、今年の大雪後には大勢の人が参加したことから、美装化に向けた道路に対する愛着や意識の高まりを感じた」(都市景観課)
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