「川越」が活性化のため投入した起爆剤の正体 「持続可能な街づくり」へのこだわりがある
さらに、立門前通り沿いには、古くは芝居小屋から始まり、長い間、映画館として親しまれ閉館した「旧鶴川座」もある。築100年以上という歴史のある同館は、中心市街地活性化の起爆剤になりうる施設の1つとして期待されている。現在、所有者や商店会などで、今後の活用に向けた検討を進めているという。路地が美装化され、こうした立ち寄りスポットが徐々に増えていけば、街の回遊性向上も期待できる。
“持続可能な街づくり”へのこだわり
さて、話を昭和の街の会の活動に戻す。岩澤さんは、現在の主な活動である道路問題の解決とイベントの開催に加え、次のステージに向けて動き始めている。
街を盛り上げるには商店街を活性化させることが第一だが、中央通り沿いで完全な空き屋になっているのは意外にも、わずかに3軒くらいだという。ほかのシャッターを閉ざしている店舗の多くは、家屋に住んではいるものの、商売をやめて仕舞屋(しもたや)になっているのだ。
岩澤さんは、こうした店舗にシャッターを開けてショーウィンドーに街の掲示をしてもらうようお願いしたり、この街で商売をしたい人とのパイプ役を担う活動を開始している。
ただし、借りてくれるなら誰でもいいというわけではなく、「できれば昭和の街、もしくはその界隈に住み、一緒に街で暮らしながら長く商売をしてもらえる人を優遇したい」という、“持続可能な街づくり”へのこだわりがある。
各地の観光地の商店街には、地元外の大手資本が入ることが多いが、ひとたび観光が下火になればそれらの企業が撤退し、シャッター商店街に逆戻りしかねない例がたくさんあるからだ。
具体的な方策としては、昭和の街の会が作って会員に配布する「まちづくりの約束」という冊子に、「事業の改廃や新規参入の場合は、事前に“昭和の街の会”に連絡・相談します」という文言を盛り込むとともに、今後は不動産仲介業者にもその旨を徹底していきたいという。
さて、取材を終え、昭和の街の会の活動はまだ始まったばかりという印象を受ける一方、2017年にはエリア内に新たに4店舗の新規開業があったという。その中には26歳の若い店主も含まれ、街の雰囲気が変わり始めるなど、活動の成果は徐々に表れ始めている。
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