埼玉・川越で250年以上続く老舗醤油屋の秘密

"神が宿る"蔵で生まれる「はつかり醤油」

(取材月:July 2017)

日本人の食生活に欠かせない調味料である“醤油”。製造の機械化が進むなか、今も伝統的な醤油づくりを続けているのが、埼玉県・川越市で1764年に創業した松本醤油商店だ。2年間かけて熟成させる「はつかり醤油」をはじめ、すべての醤油を昔ながらの天然醸造で仕込むことができるのは、江戸時代から残る醤油蔵があるから。

川越で250年以上続く醤油屋の老舗

当記事は「SHUN GATE(運営:凸版印刷)」からの転載記事です

立派な蔵造りの重要建築物が多く残る川越は、“小江戸”と呼ばれる人気の観光地。松本醤油商店は、そうした風情ある街のシンボルである、「時の鐘」からほど近い場所にある。

1764年、川越で有名な豪商だった横田五郎兵衛がこの地で醤油製造を開始。1889年に初代・松本新次郎が建物や従業員などを引き継ぎ、松本醤油商店が誕生した。1893年の川越大火を逃れた松本醤油商店には今も江戸時代に建てられた蔵が残っており、通りに面している店蔵は川越市の有形文化財、醤油の仕込蔵は都市景観重要建築物に指定されている貴重なものだ。

松本醤油商店の醤油づくりに無くてはならないのが、天保元年(1830年)に建造された仕込蔵。麹と塩水を発酵・熟成させ、醤油のもととなる“もろみ”をつくる蔵だ。

当主の松本公夫さんは、この蔵に入る前に、必ず一礼をする。どうしてかと尋ねると、「ここに神様がいると思っているので」と話してくれた。

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