茨城県土浦市の"理想農園"は何が違うのか 顔の見える関係が野菜を美味しくする

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新治の自然に寄り添いながら農薬を使わない有機農業を営む久松農園(取材月:August 2016)

東京から約60km、電車でわずか1時間ほどの距離に位置する茨城県土浦市。

土浦市の西側に広がる旧新治(にいはり)村は、北に筑波山、東に国内2位の湖面積を誇る霞ヶ浦といった豊かな自然に囲まれている。この地域では、年間を通して温暖な気候に恵まれていることもあいまって、四季折々の野菜が育まれている。

こうした恵まれた環境のもと、露地栽培による有機農業を営む農園があると聞き、我々は取材に向かった。

多品目を有機で育てる久松農園の志

当記事は「SHUN GATE(運営:凸版印刷)」からの転載記事です

1999年の創業以来、新治の自然に寄り添いながら農薬を使わない有機農業を営む久松農園。

自然条件に左右され、決して効率が良いとはいえない多品目での露地栽培にこだわり続けている。

「私たちには、こうすれば必ずうまく育てられるという“勝利の方程式”がほとんどありません。野菜は生きものだから、出来に振れ幅があるのはしょうがない。その振れ幅を小さくするために、どんな要素が結果に寄与しているのかを日々観察し、試行錯誤しながら育てています。去年と同じように育つことはないので、毎回ドキドキします」と、笑いながら話してくれたのは、久松農園の代表、久松達央さん。

野菜をその土地の気候や“旬”から切り離してコントロールしてしまうのではなく、“当たり前の時期に当たり前に育つ、採れたての美味しい野菜”を消費者に味わってもらいたいという想いが、久松さんにはある。

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