関西私鉄が「野菜ビジネス」に参入する狙い

高架下での栽培や宅配事業に相次ぎ進出

「近鉄ふぁーむ花吉野」に設置された野菜工場

鉄道会社の関連事業といえば、これまではバスやタクシー運行といった交通事業のほか、不動産開発やホテル・百貨店事業が主流だった。しかし、最近はこれ以外の多様なジャンルへと進出している。なかでも、関西私鉄で参入が広がっているのは、鉄道会社のイメージとは程遠い「野菜ビジネス」だという。

尼崎市の西端にある、阪神電気鉄道の尼崎センタープール前駅。この高架下には、ある「工場」が稼働している。二重になった扉の向こうには、白い光で照らされた棚に整然と並べられた植物が見えた。

「ここは『阪神野菜栽培所』です。高架下の空間を利用して、グリーンリーフ、フリルレタス、ベビーリーフの3種類の野菜を、水耕栽培で育てています」と、工務部野菜栽培所担当の長田真由美氏が話す。

電鉄会社に「野菜栽培所」?

そもそも、なぜ阪神電鉄が野菜栽培なのだろうか。

「新規事業を検討している段階で生まれた発想です。鉄道会社である弊社には、活用しきれていない高架下の土地が多くありました。これまでは駐車場などに限られていましたが、野菜の水耕栽培なら日当りの悪い高架下でも可能ではないかということで、まずは大物~杭瀬駅間で300株の試験栽培を開始しました」(長田氏)

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阪神電鉄の高架下に建設された「阪神野菜栽培所」

野菜の試験栽培を担当しているのは、建築工事などを管轄する工務部の社員。高架下での事業ということで、組織上は工務部の一部署が担っているのがユニークだ。2014年には栽培面積629㎡の工場を建設し、本格スタートを切った。

「建物が大きくなると、温度や湿度のばらつきができたり、風の当たり方が偏ったりする。扇風機を入れるなど試行錯誤を繰り返しました」(長田氏)。現在では1日1500株ほどを安定的に出荷できるようになり、阪神電鉄沿線の百貨店やスーパーで販売するほか、ホテルや飲食店、変わったところではゴルフ場のレストランにも納品しているという。

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