東海道新幹線で豊橋から三河安城へ。A席側に間もなく三河湾が見えてくる頃、E席側では車窓から静かな「闘い」が見られる。
豊川、豊川放水路、佐奈川と渡った先に現れる、ちょっと古風な女の子が描かれた大型の看板。静岡県の名産、三ヶ日(みっかび)みかんの野立て看板だ。県外の人にもブランドを知ってもらおうと、1999年以来17年にわたって、新幹線の乗客に向けてアピールを続けている。
三ヶ日みかんの看板を過ぎて約2~3分後。蒲郡の市街地を抜けたところで、再びE席側に「みかん」の看板が登場する。周囲には無数のビニールハウス。こちらは、愛知県蒲郡市神ノ郷地区。蒲郡市最大の農産物である、蒲郡みかんの産地だ。
みかんの2大ブランドが車窓に
静岡県三ヶ日と、愛知県蒲郡。2つのブランドみかんが、新幹線の車窓を舞台に静かなアピール合戦を繰り広げている。
三ヶ日みかんの里・三ヶ日町は、浜松市北区にある。浜名湖の北側で、約300年前からみかん栽培が行われているという。江戸時代中期の享保年間に、山田弥右衛門という人物が、紀州那智地方から紀州みかんの苗木を持ち帰り、庭に植えたのが始まりだ。江戸時代末期には三河地方から温州(うんしゅう)みかんが入り、種がなく味が良いことなどから広まった。
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