東京-新大阪間を最高時速285km、最短2時間22分で結ぶ東海道新幹線。日本を代表する大動脈だが、一方で「味気ない」と言われることが多い。車内はいつもビジネスマンを中心とした乗客で混雑しており、車窓風景はトンネルや防音壁に遮られてよく見えない、というわけだ。
だが、それは間違いだ。実は、東海道新幹線ほど多彩な車窓風景を楽しめる路線はない。トンネルは全体の2割以下と少なく、沿線は富士山、浜名湖といった日本を象徴する自然風景や、お城など歴史遺産に恵まれている。何よりユニークなのが、「なんだ、あれは?」と思う看板などがたくさんあることだ。1日43万人を運ぶ大動脈ゆえに、新幹線に向かってあの手この手でアピールする人や企業がある。
東海道新幹線に乗ったら、居眠りをしたりスマートフォンをいじったりしているのはもったいない。たまに窓の外を眺めてみると、思わぬ発見がある。そんな東海道新幹線の車窓の魅力と、旅の手段としての楽しみ方をシリーズで紹介していく。
「こだま」ではまず食料を確保
新幹線の旅を楽しむなら、列車は「のぞみ」よりも「こだま」、それも自由席がお勧めだ。各駅停車の「こだま」は、新大阪まで4時間04分かかるが、「のぞみ」とは全く違った旅を楽しめる。何より、自由席は空いているのがいい。乗客も「『ひかり』に乗るほど急いではいない」という人が多く、車内はどこかのんびりとした雰囲気に包まれている。しかし、「のぞみ」との所要時間(東京ー新大阪間)の差は1時間半ほど。1964年に開業した当初の「ひかり」(4時間)とほぼ同じだ。
乗車する前に、まずは食料を確保しよう。「こだま」は車内販売がない。停車駅で「のぞみ」の通過を待つ間に買い物ができるので慌てることはないが、せっかくの旅立ちだ。おいしいものを用意すれば、それだけで旅の気分は高まる。
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