東海道新幹線は、有楽町を過ぎて新橋に差し掛かろうとしている。E席側、新橋駅の広場の向こうに、赤い鉄塔がちらりと見える。長年東京のシンボルとして親しまれてきた、東京タワーだ。
1958(昭和33)年に完成した総合電波塔で、高さは333m。現在では、2012年に完成した東京スカイツリーに主役の座を譲ったが、現在も地デジやラジオ放送、携帯電話、あるいは大気汚染観測などに使われ、関東地方の生活に欠かせない存在である。
右に見ながら出発…だったのは昔
●[東京タワー]東京~品川間 E席側
1964年の新幹線開業当時、東海道新幹線の車窓からは、空高くそびえる東京タワーをたっぷり眺めることができた。当時テレビ局が制作した新幹線の紹介番組にも、「新幹線は、東京タワーを右に見ながら東京を出発」とナレーションが入ったものだった。
だが、その後の50年間で東京の風景は大きく変わり、東海道新幹線の周囲には高層ビルが林立した。現在、新幹線の車窓から東京タワーはどのくらい見えるのだろうか。動画を撮影して、確かめてみた。
動画のフレームを数えてみると、東京タワーが見える時間は、新橋~田町間のトータル約17秒間。新橋~田町間の所要時間は、下りの場合概ね2分30秒。そのうちの17秒しか見えないのだから、いかにビルが見晴らしを遮っているかがわかる。しかも、地上150mの大展望台を含む全体を見渡せるのは、浜松町駅手前の0.7秒ほどだけ。「東京タワーを見ながら出発」とは行かなくなった。
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