●[東海道貨物線]東京~品川間 A席側
浜松町でE席側に東京タワーの全体が見える頃、A席側には、窓のすぐ横に奇妙な線路が現れる。立派なレールは敷かれているが、在来線でしかも単線。新幹線との間には柵もなく、窓のすぐ横に見えるが、雑草が生い茂り廃線跡のように見える。
これは、かつて汐留駅(現・汐留シオサイト)に通じていた貨物線の跡。正確には「跡」ではなく、1998年以来「休止」している東海道貨物線の線路だ。浜松町から新幹線に並走し、東海道新幹線大井車両基地に隣接する東京貨物ターミナルまで続いている。
浜松町駅付近は、コンクリートで舗装され貨物線の面影は薄れているが、橋梁などはそのまま残り、田町に近づくほど現役の雰囲気に近づく。
この線路は、かつては日本の物流の大動脈だった。しかし、物流は次第にトラック輸送に取って代わられ、1986年、汐留駅は廃止。東海道方面の鉄道貨物の拠点は、東京貨物ターミナルに統合された。
汐留駅の廃止後、汐留駅の敷地は汐留シオサイトとして再開発が進められたが、浜松町-東京貨物ターミナル間は残された。浜松町駅からはマイカーと乗客を同時に運ぶ「カートレイン」が発着。寝台車に乗って、この線路の上を旅することができた。
休止線として20年近く眠り続けている東海道貨物線だが、現在、ここを羽田空港からのアクセス路線として復活させる構想がある。完成すれば東京駅~羽田空港間の所要時間は18分に短縮されると言われるが、2014年8月にJR東日本が構想を発表して以降はあまり大きな動きはない。果たして、ここに最新の電車が走る日は来るだろうか。
4〜5階と同じ高さの眺め
●[馬込の直上高架線]品川-新横浜間 主にE席側
品川駅で乗客を増やした列車は、高架線に上がり、東海道本線や山手貨物線をまたぐ。現代的な大崎ウエストシティタワーズを過ぎると、急に高層ビルが減り見晴らしが良くなる。ここは、品川までとは打って変わって、昔ながらの姿を残す東京の街並みを展望できる区間。ビル4~5階ほどの高さがあり、抜群の眺望だ。冬の天気が良い日なら、E席側前方に富士山も見える。
東海道新幹線がこれほど高い位置を通っている理由は、真下を横須賀線や湘南新宿ラインの線路が通っているからだ。この路線は、元々は1929年に開業した東海道本線の貨物支線、通称品鶴線。東海道新幹線は、建設費用と工期を短縮するため、東京都内に限っては在来線と完全に並走してもよい、時速200km以上を出せなくても構わないとされ、この決まりによって、品川から都県境までは品鶴線の用地を活用することになった。
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