三ヶ日vs蒲郡、新幹線沿いの「みかんPR合戦」 昔は柿バトルも!三河の車窓は果物の激戦場

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

奥浜名湖を望む南向きの斜面で日照時間が長く、降水量も全国平均程度。土壌は、赤石山脈から続く水はけのよい赤土。三ヶ日には、みかん栽培に最適な環境が揃っていた。やや大ぶりで糖度の高い「青島」と呼ばれる品種を中心に栽培している。

まだ皮が青いうちに収穫し、強制的に風を当てて果実の水分を約5%減らすことで、長期間鮮度を保つという、「予措(よそ)」という貯蔵技術を使っている。いわば、みかんの「活け締め」だ。

年間出荷量は平均3万6000トンほど。恵まれた自然環境を活かした露地栽培がほとんどで、温室を使ったハウスみかんはわずか10トン程度に過ぎない。

蒲郡は最新技術で年中出荷

画像を拡大
山の斜面にみかんのビニールハウスが並ぶ蒲郡市神ノ郷地区。三河湾周辺ではほかにも桃、梨、ぶどう、メロンなど果物の栽培が盛んだ

一方の蒲郡みかんは、今から約200年前、19世紀に愛知県幡豆(はず)郡(現在の西尾市)から「唐みかん」が移入されたのがルーツ。こちらは、三ヶ日みかんとは逆に、温室を活用したハウスみかんが有名だ。年間出荷量は8500トンほどで、そのうちの約1400トンがハウスみかんだ。

蒲郡で温室みかんの栽培が始まったのは1973年。当時みかんの価格が暴落したために、市内9軒の農家が、全国の先駆けとなる形で試験的に温室栽培を開始した。1990年には、地面を冷やしてみかんに「冬が来た」と思わせて花を咲かせる地温冷却栽培がスタート。5月上旬という、それまでは考えられなかった時期の出荷を実現し、全国を驚かせた。

現在は、品種を「宮川早生(みやがわわせ)」に統一。高い糖度と程よい酸味、極めて薄い袋で食べやすいと人気がある。

恵まれた自然環境を活かし、静岡みかんのトップブランドを守る三ヶ日みかんと、最新技術に挑戦し、年間を通じて高品質なみかんを出荷する蒲郡みかん。地理的にはお隣同士ながら、全く性格の異なる2つのブランドは、毎日新幹線の乗客にメッセージを送り続けている。

次ページかつては「柿戦争」もあった!
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事