医師少ない日本に世界一病院が多いという謎 国民皆保険制度はこのままでは維持できない

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もし仮に、全てを保険料できちんとまかなうとしたら、僕たちは保険料をどのくらい納めなければいけないのでしょうか? 実際のところ、会社員の保険料は個人と会社が折半して負担しており複雑なのですが、ここでは「社会全体で見て、働いている人あたりどのくらい医療費を負担しなければいけないか」ということを考えてみます。

仮に現在の日本の就労人口を6000万人とならしたとすると、42兆円÷6000万人=70万円。つまり理論的には、働いている全ての人が年間70万円、月に5万円以上の社会的負担をすることで維持される仕組みが現在の国民皆保険制度なのです。

もちろん給与や家族の有無などで負担額は異なってきますが、「日本の医療費42兆円」という数字が、もう少し手触りをもって感じられると思います。

現状の保険料ですら高いという声は聞かれますが、現在、私たちが無意識にその恩恵を受けている医療制度は、本来このくらいの負担がなければ維持できないのです。

「医療費を支える人が減り、使う人が増える」

そして、少子・高齢化が進んでいる日本では、「医療費を支える人が減り、使う人が増える」のは明らか。2025年には医療費は50兆円を超える予想で、就労人口が5000万人とすると、1人あたり年間100万円の負担が医療を支えるためには必要になります。

先に述べた通り、医療は国全体のセーフティネットですので、実際には消費税などの税金による補助の増大が現実的ですが、これも国民全体が公的に負担しているおカネに変わりありません。

国民皆保険で支えられている日本の医療財政が、限界を迎えていることは明らかです。今の日本の医療をどうやったら持続可能なものとして維持していくことができるのかを、改めて考えていかなければいけません。

日本ではいたるところで医師が足りない、と叫ばれ医師の過重労働が問題となっています。

僕は初期研修医、脳外科医として働いていた経験がありますが、当時を今振り返ると「まあよく働いていたなあ」と思います。当時の感覚として、休日、残業という概念は全くありませんでした。問題だとは思いますが、自分の所定労働時間というものが存在していたかどうかすら知りません。

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