「ここでも帳尻を合わせようと手書きをあきらめ、ローマ字を覚えてパソコンで速いタイピングをするという手を選びました。薬を飲めばできるようになるのは怖いとか、子どもに処方して管理をするのはどうなのかとか、副作用の心配をする人もいると思います。医師が過剰な処方をするのはもちろんよくないけど、仮に度が強すぎるメガネをかけて頭がクラクラしたとしても、それは度の強い眼鏡を勧めた医者が悪いのであってメガネは悪くない。
ADHDの薬だってそうです。薬を飲んで悪影響が出たとしたら、それは処方をした人の問題です。近視の人にメガネやコンタクト、レーシック手術といった対処法がいろいろ出てきたように、発達障害の薬も今後、その人に合うものが何種類か出てきたらいいなと思います。現在承認されている大人用のものは2種類しかないので」(三浦さん)
三浦さんはコンサータのおかげで今があると語るが、デメリットもある。薬を飲むと張り切って働きすぎてしまい、ぐったりと疲れてしまう日があるのだ。だから、仕事が休みの日は休薬日兼休息日を作るようにし、医者もそれを推奨している。
発達障害や精神疾患系の薬への偏見が強い
2017年11月22日配信の「23歳、『発達障害』の彼が抱える生きづらさ」に登場したADHDの横山さんも同じ話をしていたが、ADHDの薬は高い。一方、発達障害を含む精神疾患系の薬の経済的負担は、市区町村に申請すれば1割負担で済む自立支援医療という制度がある。役所勤めの三浦さんはこの制度を知っているはずなので、利用しないのか聞いてみた。
「職場の人にはADHDであることを言っていません。いくら守秘義務があるとはいえ、精神系の薬を処方されているということ自体、偏見が強いので申請をしていないです。役所の窓口には重度の精神障害の方もみえるので、やはりそういうイメージを強く持っている人もいます。
私は薬を飲んでいるけど、完全にケアレスミスがなくなったわけではありません。『ちょっと詰めが甘いけど一生懸命やっているよね。たまにハゲタカみたいになるけど』と上司に言われるので、少し変わったキャラの子と思われているのではないでしょうか」(三浦さん)
ハゲタカとはどういうことなのか聞いてみると、のび太型ではあるが時おりジャイアン型が出て、衝動的な言動をしてしまうことらしい。友人からは「規則を重視しすぎて組織の利益を考えられないことがあるよね」と言われるほど、間違いだと思うことははっきりと「ダメ」と言うタイプの三浦さん。
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