働き方改革の「成功事例」に潜む矛盾と副作用

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働き方改革は成功と言えるのか?
安倍首相は、今年の通常国会を「働き方改革国会」と呼んだ。いよいよ、長時間労働是正や、同一労働同一賃金などに関連した法案の審議が始まる。もっとも、賃金と時間を切り離すプロフェッショナル制度の導入、さらには裁量労働制の拡大など、むしろ長時間労働を誘発するような仕組みとセットで提案されるのが気になるところだ。
一方、この「働き方改革」という言葉には、すでに白け感が漂っていないか。日本能率協会『第8回「ビジネスパーソン1000 人調査」【働き方改革編】 』によると、約8割のビジネスパーソンが職場での「働き方改革」を実感していないことが明らかになった。また、あしぎん総合研究所が行った調査では、「働き方改革」の企業側の認知度は96.3%であるのに対し、就労者側の認知度は41.3%という大きな差が明らかになった。なお、取り組んでいる企業は57.3%だったという。
働き方改革に関する問題意識を、東洋経済オンラインでもお馴染みの教育・育児ジャーナリストおおたとしまさ氏と『「働き方改革」の不都合な真実』(イースト・プレス)にまとめた。その発売記念イベントの模様をここにお届けしよう。

「働き方改革」はゆとり教育の二の舞になる

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おおた としまさ(以下、おおた):僕は、もともと教育や育児をテーマに活動しています。でも、「男性も育児を」という文脈で物事を考えたときに、「働き方」という問題は避けては通れませんでした。

常見 陽平(以下、常見):以前からおおたさんは「働き方改革」は「ゆとり教育と同じになる」と警鐘を鳴らされていましたね。

おおた:働き方改革とゆとり教育の何が共通しているのか。もともとゆとり教育の目的は「20年、30年後の社会を素敵に創れるような未来の大人を育てましょう」「目先の学力にとらわれないような教育をしていきましょう」という話だったはずです。

目先の点数が落ちるということは、わかっていたじゃないですか。だけど、その「副作用」の部分についてちゃんと語ってこなかったから、ちょっとしたネガティブな反応が出た時に、国が過剰なリアクションをして、ゆとり教育は頓挫してしまいました。

働き方改革でも、長時間労働是正を進めるとその分、売り上げがダウンするなど、ネガティブな反応が起こるはずです。でもそこは、あまり語られていませんよね。このままでは経済の後退みたいな反応が出たときに過剰な揺り戻しが起こるのではないかと懸念しています。

常見:何をするにしても、どんな政策であったにしても、その副作用は必ずあるはずです。

おおた:前もってできる範囲で副作用を想定しながら、そこに対する打ち手も準備しておいてこそ政策です。医療でいうインフォームドコンセントをちゃんと取らないで進める政策は、本当の政策と呼べるのかと。

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