おおた:いま批判されなければいけないのは「結果」ではなくて、社会としての拙速な働き方改革の「進め方」でしょう。構造的な問題点がわかっていたというのなら、サイボウズは残念な結果が出る前にそれを指摘すべきだったし、それがまだわかっていないというのなら、サイボウズも働き方改革圧力の被害者であり、被害者でありながら他の被害者に対してお詫びするというのは上から目線で傲慢だと僕は思う。
サイボウズや代表の青野(慶久)さんが社会を変えるためにたくさんの働きかけをしていることは事実だと思うし、企業として悪い印象はまったくないのだけど、「あの広告」はちょっと残念。
議論し続けることをサボらない
常見:おおたさんと一緒に出版した『「働き方改革」の不都合な真実』(イースト・プレス)では働き方改革に対する処方箋を提示しきれたとは思えません。ただ、この本を出して本当によかったなと思ったのは、1年間、おおたさんと定期的に語り合う機会ができたこと。完成直前には、箱根合宿までして(笑)。この語り合う、議論するというプロセスこそ大事なのではないかと。
おおた:僕、「動的な問い」って言い方をよくするんですけども、問い自体が常に時間と共に変化していくよね、それに対する最適解も常に変化していくよね、だから考え続けようと。しかも、それをいろんな人と語り合う中で、相乗効果、相互作用っていうのかな、集合知を高めていくって……それはもう永遠に続いていく、永遠に答えは出ないんだろうな、その覚悟を決めて臨むことが重要なんじゃないかなって。
常見:そのプロセスが民主主義の根本ですよね。結局、この本を一緒に書いていく時、政治でもいろんなことがあって、やっぱり民主主義を問い直す旅だったなあって。
おおた:働き方改革って本来は「どういうふうな生活を目指すんだっけ?」「明るい未来ってどんな未来?」ってワクワクしながら考えることで、それは僕たち自身が決めなければいけない。そのうえで「そこにたどり着くためにはどうすればいいんだっけ」って議論が始まるはずです。
常見:ただ残業を減らせみたいにあおられるばかりで、目指すべきゴールについての議論が足りなかったんでしょうねえ。議論をサボらずにいきましょう。
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