サイボウズの謝罪広告はちょっと残念
常見:そうそう、サイボウズ社が働き方改革について「謝罪広告」を出しましたよね。あれはどう受け止めました?
おおた:残念な結果が出始めてから、働き方改革を批判するのは「後出しじゃんけん」でしょ。「お詫び」という形で、あたかも自分たちが働き方改革の牽引役であるというようなポジションをとりながら、同時に「自分たちは間違っていない」と主張するのは、企業広告としては非常に巧妙だけど、卑怯だとも感じた。
常見:新聞広告だけでなくWebではアニメ(サイボウズ ワークスタイルアニメ『アリキリ』)も用意されていました。
おおた:お詫びから誘導されるあのアニメでは、拙速な働き方改革の結果としての残念な事例を面白おかしく笑っているだけ。どうしてそういう本末転倒が起こってしまったのかを検証していないし改善策も示されていない。そのことから、あの広告が本気のお詫びではないことは明らか。本質的な働き方改革が進まないことで、心を病んでしまったり、家庭が崩壊しかかったりしている労働者がたくさんいる現状において、彼らに対して本気でお詫びするつもりだったら、ああいうトーン&マナーにはならないでしょう。
常見:あの広告では働き方改革圧力がもたらした現状に不満を持つ人たちの溜飲を下げることはできても、現状の改善にはつながりませんからね。
おおた:そもそも無理矢理、社員を会社から追い出したり、形だけ女性取締役を増やしたりすることが本来の働き方改革でないことは誰だってわかっているんですよ。
常見:それを「私たちはこれまでも指摘してきた」とアピールされてもねぇ(笑)。
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