44歳「ホラー映画」を極める男の並外れた執念 「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」を生んだ発想

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ホラー監督らしい壮絶な産まれ方をしてきた白石監督だったが、子供の頃は大人しい性格だった。

「今も大人しいですけど、子供の頃はちょっと対人恐怖症的なところがありましたね」

親に「アイスを買ってきて」と言われて売店に行っても、お店の人に声をかけられず家に帰館。親にバレるのが恥ずかしくてずっと押入れに隠れていたという。

大きな影響を受けた作品

初めて映画にハマったのは小学校3年生頃だった。家にビデオが導入されて、テレビで放映された『ジョーズ』(スティーブン・スピルバーグ監督)を録画した。そして毎週休みのたびに繰り返し見ていた。そのうち、紙でサメ型のオモチャを自作して遊んだりした。

同じ時期に、必殺シリーズ(テレビ朝日系ドラマ)にもハマって、学校から帰って来ると初期シリーズの再放送を毎日見ていた。

「必殺シリーズの綺麗事じゃない、偽善を嫌うところが好きでしたね。聞こえの良いことだけじゃこの世の中やっていけないぜ!!って感じが良かったです」

そのうち近所にレンタルビデオ店ができた。当時は入会料金1800円、レンタル料金1本1泊1500円という非常に高い値段設定だった。

『遊星からの物体X』(ジョン・カーペンター監督)が貸し出されていたので、どうしても見たくて父親に頼んでみると、あっさり入会して借りてくれた。

「なんでもないふうを装ってましたけど、3300円は高いですよね。今思えば、父親はたぶん後で個人的にエッチなビデオを借りようと思って入会したんだと思うんです(笑)」

家族みんな集まった居間で、電気を消して『遊星からの物体X』を上映しながら夕食を食べた。

映画監督として、大きな影響を受けた作品になった。

B級のテイストあふれるアメリカ映画が好きだったという(筆者撮影)

その頃は、親に頼んで連れて行ってもらった『ターミネーター』(ジェームズ・キャメロン監督)をはじめ『バタリアン』(ダン・オバノン監督)、『コマンドー』(マーク・L・レスター監督)、『死霊のはらわた』(サム・ライミ監督)など、B級のテイストあふれるアメリカ映画が好きだった。

「『死霊のはらわた』にはずいぶん影響を受けて、小学校5年生のお楽しみ会のときに演劇をしましたね。段ボールに穴をあけて、後ろから手がバーン!!と出てくるとか。人がゾンビに襲われているって設定でしたけど、途中で白塗りになったりしたんで、先生や同級生たちには前衛芸術でもやっているように見えたかもしれません(笑)」

白石監督の父親はあまりおカネの使い方がうまくない人だった。

長屋住まいの後、一軒家に引っ越したのだが、父親の自衛隊の給料と、内緒でしていたアルバイト代、母親のパート代合わせてギリギリ払えるローンを組んでいた。

「電気とか水道はよく止まってましたね。借金取りからの電話もちょくちょくありました。休みの日は父親がパチンコ屋に行っているので、借金取りから電話があったときはパチンコ屋に電話をして予め決めていた偽名で父親を呼び出してました」

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