たとえば、通信関連の営業部門に勤務しているSさんは前の上司とは相性がばっちりで業績もつねに高い状態が続きました。「お前に任せる、結果だけ出してくれればいい」と放任してくれるマネジメントが心地よかったのかもしれません。ところが現在の上司は経理部から異動してきた人。さらに、営業職としての現場経験は皆無。そこで、
「営業活動をSFA(営業支援システム)を通じてキチンと報告してくれないと困る」
と業務の把握のために、これまでになかった事務作業と承認を得るための相談業務が大幅に増えることになりました。すると、Sさんの業績は劇的に下がってしまうことになりました。ついには「あなたとはやっていけない」と上司にクレームをぶつけ、険悪な関係になってしまいました。
ならば、Sさんの上司は無能なのか?といえば、そうとも言い切れないようです。同じ部署で営業をしているGさんは上司のマネジメントに不満を感じることもなく、業績はむしろ向上したくらい。その理由を聞いてみると、
「細かな報告のために営業活動を振り返る機会が生まれて、仕事に抜け漏れがなくなりました」
とのこと。さらに上司は営業の現場経験がないが、報告をすると「次のアクションはどうするつもりなのか?」と事細かに質問をぶつけてくれるので「考える」習慣が身に付いて、業績が向上したようです。さらに、
「上司によりマネジメントは違うのが当たり前。各人のいいところを活かして、仕事に取り組めば、上司が変わって業績が落ち込むことはありません」
と語ってくれました。要は高い適応力で巧みにボスマネジメントをしているのでしょう。
上司ごとに発言・行動をカスタマイズしよう
では、どうしたら巧みにボスマネジメントできるのか? 大事なことは上司ごとにマネジメントスタイルが違うことを踏まえて、発言・行動をカスタマイズすることではないでしょうか。
たとえば、「あとは君に任せる」と言って任せたら細かな報告はいらないという上司と、報告はマメに欲しい上司がいます。あるいは出すぎるくらいの率直な発言を好む上司と、嫌う上司がいます。相手に合わせて、通り一遍ではなく、カスタマイズして対応することで上司が自分のために動いてくれる可能性が高まります。
そもそも、上司も人の子。自分に合わせてくれる部下を好みます。おそらく、西郷氏は久光氏に対してカスタマイズする適応力はなかったかもしれません。だから、島流しに遭うなど不遇な時代になってしまったのではないでしょうか?
もちろん、そうした不器用なところが大河の主人公になれる西郷氏の魅力であることはわかっています。ただ、大久保氏とのコントラストを比較しながら、現代に活かせる教訓を見いだすつもりでドラマを見てみるのも一興ではないでしょうか。
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